絶景の旅マチュピチュ~ペルー:マチュピチュ・クスコ編~
11月8日
今日からマチュピチュ、クスコへの旅が始まる。「世界遺産」「絶景の旅」「秘境への旅」といった本、テレビ番組、ビデオを見ては「絶対行きたい!」と憧れていた地である。だから世界を周るプロジェクトを最初に企画したときから、絶対はずせない訪問地としてリストアップしていた。訪れるにあたっては利便性を考え、ウユニ塩湖と合わせて現地発のツアーを利用した。
前日の夕刻ブエノスアイレスからアビアンカ航空AV966便でリマへ。21時過ぎに到着してミラフローレス地区のホテルカルメルに1泊。翌朝9:35発のスターペルー航空(2I-1117便)でクスコへ移動した。飛行時間は1時間10分。空港に降り立つと山に囲まれたのどかな風景が広がる。標高3399メートルなのでいきなり空気が薄く、それだけで別次元のような不思議な感覚。
まずはマチュピチュへ向かうのでクスコの街は通過。マチュピチュ行きの列車に乗るオリャンタイタンボまでは車での移動だ(約2時間)。道がガタガタしているし、最初は人々が生活しているエリアでは道路にゴミが落ちているのも目に付いた。
途中の村でアルパカ製品の製造を見学。
とっても大きなネズミ。
アルパカ。
染色の実演があった。すべて自然の素材が使われる。細かい作業で手間がかかっていることに驚いた。
織物類の他に人形も売られていた。
高地の村の子どもたち。この村の暮らしを受け継ぐのか、それとも外の世界を体験することになるのか、どんな人生が待っているのだろうかと思った。
最も標高が高いところは4500メートルもあった。景色は素晴らしかったけれども頭がくらくらした。
高地になかなか順応できなかったが、車の中で少し寝たら楽になった。オリャンタイタンボ駅手前は石畳のガタガタがすごかったが無事到着。ここでガイドさんと別れ、自分たちだけで1泊2日のマチュピチュへの旅となる。
マチュピチュ村に向かうペルーレイルのビスタドーム号。
ガラス張りで景色が楽しめる観光列車だ。なんと、先頭車両一番前のパノラマ席だった!一生(夫)が旅の間あまりにも好奇心旺盛でちょろちょろしていたので、神様が機会を与えてくださったとしか思えない。
ウルバンバ川に沿って移ろう景色は圧巻。
インカ道の起点ではトレッキングのトレイルを歩いている人が見えた。次に来るときはぜひ私も歩いてみたい。
線路の切り替えは手動。対抗列車とすれ違う度に列車から降りてポイントまで走って行き作業をする。
結構何回もすれ違った。
車内では飲み物とペストリー、果物(プラム)のサービスがあった。はまるとウワサのインカコーラ!
生命力がありそうなサボテン。
出発したときは天気が良かったのにだんだん雲行きが怪しくなり、雨が降り出す。結構激しく降ってきた。以前マチュピチュを訪れるテレビ番組で、せっかくはるばる遠いところまで行ったのに雨で視界が悪く残念な結果となったのを見たことがあったので不安になった。
激しい雨がしばらく続いたが、マチュピチュ村に到着する頃にはなんとか止みそうな気配になった。1時間半の列車の旅だった。
夕ごはん。クスコ生まれのビール、クスケーニャ。
来てみてわかったことなのだが、クスコ、マチュピチュは石窯で焼いたピザを出すレストランが多い。ペルー人がクスコ、マチュピチュへ行ったら「ピザを食べるべし!」という認識を持っているくらいレベルが高いのだ。私はそんなことを知らずに食べ、あまりのおいしさに「え、何?どういうこと?」と驚いた。ペルーはそもそも食材の質が良いのと、素朴に作られていることによるのだと思う。
フォークロア調のお店が並ぶ。
11月9日
5時起床。雨は降っていない様子だったのでホッとする。ホテルの朝食は5時半から提供された。が、しかし、マチュピチュ行きのバスは5時半から運行されるため、食堂の窓からバス停へ向かう人たちが通るのが見える。早く出発した方がいいのかなと気になることしきりであった。
ホテル前の通りは白い花がきれいだった。
マチュピチュ村は日本のひなびた温泉街に似た風情でどことなく既視感があった(温泉が出る)。周りの山が高いところだけが違う。そう言えば、ペルーの人は日本人と顔も似ている。
バスはくねくねとした標高差が400メートルあるハイラム・ビンガム・ロードを上って行く。25分くらいで遺跡の入口に到着した。
森の中の石段を歩いて行く。結構息が上がってどこまで続くのかなと思っていると、貯蔵庫、見張り小屋が現れ、そして写真で見るマチュピチュの光景が眼前に現れる。記念撮影の後、見晴らしが広がるスポットに腰を下ろし、しばらく光景を眺める。遂に来た!
遺跡にはリャマが数頭いて人だかりができていた。
崖に咲いていた花。
段々畑をルートに沿って歩いて行く。
出かける前はマチュピチュについて、「失われた天空都市」のミステリアスなイメージを持っていたが、来てみたらとてもきれいに整備されていて、ミステリアスな印象は受けなかった。ここに都市をつくったということに関しても、地理的にも地形的にもそれほど奇想天外なことではなく、合理性があるように感じた。「古代史の謎」はそれを語りたい人たちによって膨らんでいる部分があるのではないかと思う。それでも遺跡のロケーション、眺め、そしてここまで来る行程は格別であり、本当に来ることができて良かったと思えるものであった。
居住区には水汲み場が16もある。
遺跡の中を一通り見て歩いた後、いったん外に出てトイレを済ませて再入場。ワイナピチュを正面に見る絶景スポットにもう一度腰を下ろしてしばしの間景観を楽しんだ。
帰り道に遺跡の入口近くで到着したばかりの若者がワイワイ記念撮影していた。しかしこの後急に暗い雲が広がって激しい雷雨になった。山の天気は移ろうのである。彼らは大丈夫だったのだろうか?
山から下りて村へ戻る。激しかった雨も止み、村の中心アルマス広場にて。
お昼はガイドブックで紹介され、ネットの評判もよかったフレンチ・レストランIndio Felizへ。
訪れた人々の名刺がインテリアになっている。
ペルーのイカにあるタカマのワイン。
ゆで野菜のサラダ。すごいボリューム。
ペルー風野菜のスープ。ライムを絞って、お好みで入れるサルサみたいなものがアクセント。
マチュピチュ村は地元のマスを使った料理が名物。どの食べ方にしようか迷ったが、食べたことがなかったのでマンゴーのソースにしてみた。結果は、想像した通り直球の甘酸っぱい味。
ランチの時間も終わり、人通りも少ないのんびりした午後。
アルパカ人形がお出迎え。ここもピザ屋さん。
街はずれにいた伸びきったようなブルドッグ。
奇抜なデザイン。ここも人気レストラン。
帰りはペルーレイルのエクスペディション号に乗った。普通の車両。
駅に咲いていた鮮やかなアジサイ。
また雨がザーザー降ってきた。濡れた花びらがきれい。
無事マチュピチュを堪能できたので、帰り道は激しい雷雨でも余裕。
ずっと訪れたかったマチュピチュ行きが実現して思ったことは、マチュピチュ遺跡というのはまずクスコに入って、そこからオリャンタイタンボまで移動し、そして列車に乗ってマチュピチュ村に着き、さらにバスに乗って遺跡の入口に到着する。入場したら石畳の道を歩いて上り、突然視界が広がって写真で見たマチュピチュの光景を目の当たりにする。そうした行程のすべて、体験のすべてがマチュピチュ観光なのだと思った。ペルー政府は観光に力を入れており、いろんなサービスは整備され、きちんと提供されてとても楽しめるものになっていた。世界屈指の観光地のプレゼンテーションはとても勉強になった。
11月10日
クスコ滞在の1日。ホテル(ロス・ポルタレス)に近いサント・ドミンゴ教会(インカ帝国時代はコリンカンチャと呼ばれた太陽の神殿)から歩き出す。
カミソリの刃一枚すら通さないと言われるインカの石壁技術。
アルマス広場に面して建つカテドラル。内部の金・銀の装飾は壮観。褐色の肌のキリスト像が南米的でインパクトがあった。
ドーム型の塔が印象的なラ・メルセー教会・修道院。
アルマス広場でのんびり眺めていたら地元のおじいさんがいろいろ話かけてきた。旅をしていると騙そうとしてくる人に頻繁に遭遇する。だからいつも身構えて応対してしまうのだが、中には本当に親切で声をかけてくれる人もいるだろうし、匙かげんが本当に難しいといつも思う。
サン・クリストバル教会の高台から街を眺める。オレンジの屋根や塔が美しい。これなら容易に世界遺産に登録されるだろうと感じた。
どこへ行っても楽しいのは市場めぐり。中央市場を訪れた。
お供えもののディスプレイ。
普段はあまり目にしない部位も。
リャマの頭?
お昼時だったので市場の食堂は大にぎわい。
牛乳売り。
定食屋さんに入ってみた。キヌアのスープはほっとする味でハーブがアクセントになっている。みんなおかわりしていた。
ごはんの上に焼いたアルパカ、豆のソースがかかっている。とてもおいしかった。スープとメインのセットメニューで5ソル(約180円)。地元の人が利用する食堂は価格がとても安い上にうまい。
中央アンデスには4000種類ものじゃがいもがあると言われるが、市場にもたくさんの種類のじゃがいもが並んでいた。
アンデス調の雑貨屋さん。
ジュース・スタンドもずらっと並んでいた。紫色のトウモロコシを煮込んだチチャモラーダを試したかったが、ここにはなし。
のんびり散策できる街。
エル・ソル(太陽という意味)通りはフェンスも太陽のデザイン。
マチュピチュでピザに味をしめ、クスコでもピザ屋に行ってみた。アルマス広場近くのピッツェリアChez Maggy。
クスコではピザにソースをかけて食べる。クリームソースとにんにくソースの2種類。初めて体験したがとてもおいしくいただいた。
キヌアのスープにも興味津々だったので、ここでもオーダー。しっかりと食べ応えがあった。
念願のチチャモラーダも体験できた。トウモロコシの軽い甘さがベースだが、レモンが入っているので酸味がある。
翌朝5:30に起床し、6:30からのカテドラルのミサに参加した。仕事へ行く途中の人をはじめ、子どもから年配まで様々な人が来ていた。みんながお祈りのフレーズを暗唱していることに驚いた。
強烈な記憶として残ったのは、すぐ側の柱のところでミサ中ずっと号泣している若いお兄さんがいたこと。これまでも海外でたくさん教会を訪れて来たけれど、そういう光景を目の当たりにするのは初めての体験だった。
お説教した神父は想像していたよりも若い人で、聖水を更新する(?)儀式があった。オルガンに合わせて歌うのだが、音程が少しはずれていたこと、ミサの最後に流れた曲が歌謡曲みたいな曲調だったのが印象的だった。人々の生活と直結するためにはそういう曲の方がふさわしいということなのだろう。
ミサに参加して強く感じたことは、いろんな人生があって、みんな一生懸命生きているということ。クスコの人々が早朝から熱心に祈る姿に、生の力強さを見た思いがした。
(2014.11.11.8~11.11)
続いて、ボリビア編へ