初めての中東~ヨルダン:アンマン編~
次の訪問地はヨルダン。イスタンブールからの飛行機(TK812便)が空港に着くのが夜中の12時頃であったため、初日はアンマン・エアポートホテルに宿泊することにしていた。何せ初めての中東なので、治安についての感覚から何もかもがおそるおそる。しかしそんな不安も杞憂に終わった。飛行機を降りたらホテルのスタッフが待機していて全てをアシストしてくれたため、あっけないくらいにスムーズに進んだのだ。入国審査の係官もフレンドリーでなごやか。パスポートの写真をフェイスブックのプロフィールに使えると褒められた。
ホテルに着いてシャワーを浴び、すぐに寝た。
9月30日
翌朝窓から外を見ると砂漠が広がっており、中東に来たことを実感する。
朝ごはんは甘いだろうと予測して口に入れるとしょっぱく、塩味だろうと予測して食べると甘いという私にとって不思議な料理だった。ハエがいるのか、皿にことごとくラップがぴっちりかかっているのが印象に残った。
左はココナッツミルクのパンプディングのような料理。ドロドロしたおかゆ状でやさしい味。右の円筒形の容器には金時豆(?)をゆでたものが入っている。オリーブオイルなど各自好みで味付けして食べる。
ホテルはトランジットのビジネスマンで賑わっていた。タクシーを手配し、アンマン市内へ移動。途中は砂漠が続くが、その向こうの丘には斜面にびっしり建物が並ぶ街が現れる。アンマンは19もの丘にまたがった都市なのだ。幹線道路沿いには青と黄のイケアの店舗もあって、グローバル化を実感する。
宿泊ホテルであるヘリテージハウスの近くまで来たとき、運転手が「ちょっとサンドイッチを買って来ていいか?」と言って車を止めて出て行った。私用を始める運転手は初めてだったのであっけにとられながら待っていると紙袋を手に戻って来た。
「あんたらも食うか?」
と言って見せる。こちらはアンマンに来たばかりで勝手もわからなかったのでとりあえず「No, thank you」と答えたところ、ものすごく悲しそうな顔をした。程なくホテルに着いたのでお金を払って降りたのだが、その日の午後、アンマンのインフォメーションを読んでいたら、そのお店が紹介されていた。アンマンに来たら絶対試すべしだというファラーフェル(ひよこ豆のコロッケ)をはさんだパンを売る超有名店だった。運転手はきっと「いらない」と言われて自分たちの文化を否定されたような気分になったのだろう。申し訳ないことをした。そして食べればよかった!!
アンマンの街中は坂だらけ。
早速街に散策へ出かける。市場を発見。
中は薄暗い。新鮮な野菜や果物が並ぶ。
ぎょっとしたのはカラーひよこ。成長したらどうなるのだろう?
山盛りのハーブがいい感じ。
肉はその場でさばいて売っている。魚は冷凍だった。
通りを歩いていて印象的なのは、水たばこのお店と実際にそれを使っている人々。喫煙文化の発達を感じた。
ダウンタウンのランドマークであるアル・フセイニ・モスク。
ローマ皇帝アントニウス・ピウスの治世(2世紀)に建てられたローマ劇場。
6000人を収容できる。大きい。上の観客席から丘に広がるアンマン市街をしばし眺めた。見たことない光景。
続いてアンマン城へ歩く。急な坂が続いていて息が上がった。
ヘラクレス神殿の跡。結構日差しが暑かった。
巨大なヨルダン国旗がなびいていた。丘に囲まれた街にイスラム教の礼拝を呼び掛けるアザーンの放送が響きわたる。ものすごい迫力。
ローマ劇場を見下ろしながら丘を降りた。あちこちに階段があって、使うと近道になる。猫が多い。
夕ご飯はガイドブックにアンマンの基本だと紹介してあったハーシェム・レストランへ。地元のお客も欧米バックパッカーもいた。メニューは1種類のみでセットが出てくる。ひよこ豆と金時豆の2種類のペーストをパン(ホブス)につけて食べる。薬味はトマト、バジル(ミント風)、玉ねぎ。好みでチリソースをかける。素朴な味がいくらでも食べられる感じで楽しめた。夫はビールを飲みたがったがアルコールはなし。食後にチャイを飲んだが、甘さがよく合っていた。
もう一品は豆のコロッケであるファラーフェル。揚げたてアツアツだった。
夕方の街中は混雑していた。周辺のレストランをきょろきょろ覗いたが、シーフードレストランもケバブのお店もどれもおいしそうで賑わっていた。
アラブ菓子のお店ハビーバ(Habiba)へ。非常に人気があって行列している。最初に注文ブースでお金を支払い、奥の店舗で商品を受け取る。商品を指させないので注文するのが難しかったが、何とか買えた。
定番商品のカナーフェ。鍋はすっごく大きいのだが、またたく間に売れてゆく。カリカリした外側の中にモツァレラチーズのようなチーズが入っていて、表面にピスタチオの粉がふりかけられている。ジャブジャブになるくらいシロップをかけて食べる温かいお菓子。素直な味でとても甘いがおいしい。
テイクアウトが基本のお店なのだが、お店の前に椅子が置かれていて、買ってすぐにそこで座って食べている人も多い。地元の人はポーションがでかい。
10月1日
翌朝ホテルの周りを散歩。昨日タクシー運転手がサンドイッチを買ったお店。まだ営業が始まっていなかったので買えなかった。返す返すも残念。
近所には学校があり登校中の生徒がたくさんいた。印象的だったのは、道路の交通整理をやっている当番の子。イスラムのベールと「STOP」と書いてある札がなんともかわいかった。車はどれも子どもたちに注意しながら運転している様子で、ちゃんと女の子の指示に従って止まっていた。
アンマンに来る前は中東というだけで腰が引けていたが、予想とは裏腹に好印象の連続だった。街を歩いていると、おじさんが「Welcome to Jordan!」と声をかけてくれる。水を買った商店でも店番の少年が「Welcome to Jordan!」。海外を訪問してこういう経験は初めてだったので大いに感激した。国の印象って、一人ひとりの国民の小さな行いが大きく影響するのだと良くわかった。
私たちが訪れた後、IS関連の痛ましい事件の報道に接し、現実の厳しさを突き付けられているような気がするが、彼の地で体験した好意の輪がこれからも続くことを切望する。
(2014.9.30~10.1)
続いて、ぺトラ編へ