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The Composer is Dead のCD付き絵本が発売

2006年にサンフランシスコ交響楽団が委嘱した作品、The Composer is Dead のCD付き絵本が発売されました。

これは、ファミリー向けコンサート用にサンフランシスコ交響楽団が委嘱したもの。サンフランシスコ在住の人気児童書作家 Lemony Snicket がストーリーを担当し、サンフランシスコ交響楽団のユース・オーケストラ出身者でもある Nathaniel Stookey が作曲した作品です。

今回、Carson Ellis のイラストで絵本になり、サンフランシスコ交響楽団の演奏(指揮は Edwin Outwater)に作家の Snicket 自身がナレーターを務めたCDが付いて発売されました(対象年齢:9~12歳)。

どんな内容なのか?

ストーリーは、作曲家の死に疑問が持たれ、オーケストラの誰かが殺したのではないかと捜査官がオーケストラにやってくるというミステリー仕立て。

そしてオーケストラの各パートが順番に疑われるわけですが、彼らは「私たちにはこんなアリバイがある」と主張するのです。その嫌疑とアリバイに各楽器の特徴やオーケストラの中での役割などが盛り込まれていて、いろいろ出てくるワルツやマーチ、サンバなどの音楽とともに、この作品で一通りオーケストラがどういうものかわかるという内容。

ファミリー向けコンサートで、プロコフィエフの「ピーターと狼」が繰り返し演奏される状況や、それがオーケストラを知ってもらう意図で書かれたものではないことから、音楽的にも楽しめて、オーケストラのイントロダクションになるような新しい作品を作ろうという話になったのだそう。

演奏時間はナレーション付きで約30分。音楽はストーリーに合わせたわかり易いものですが、決してイージーではありません。基本現代音楽。サンフランシスコ交響楽団がいつもの調子(高精度アンサンブル+マルチタレント集団)で演奏していて、およそ絵本の付録とは思えない。

ファミリーコンサートも同時開催

サンフランシスコ交響楽団は、この作品を3/29(サンフランシスコ)、4/4(シリコンバレー)での Music for Families シリーズのコンサートでも取り上げます。対象年齢は7歳以上、チケット価格は15~55ドル(子どもは半額)。この作品に途中亡くなった作曲家の例として出てくる Wagner, Beethoven, Mahler, Schubert, Tchaikovsky, Berlioz などの音楽を組み合わせてコンサートは構成されます。

サンフランシスコ交響楽団は“living composer”との出会いの場をつくることが活動の大きな柱ですが、その委嘱作品“The Composer is Dead”に来て、歩いてしゃべる“living composer”に会ってくれとウェブサイトに書いていました!

既にいろんなオーケストラがこの作品を取り上げているようです。

(2009.3.14)

追記

  • 新聞の書評も出ています(ザ・オレゴニアン)。
    使われているボキャブラリーが豊かであること、CDが素晴らしいと指摘していました。
  • サンフランシスコ在住の日本人の方のブログは必見!(Music for Families シリーズの会員の方です)→こちら

サンフランシスコ交響楽団がこのシリーズのために制作したツールやホールの飾り付けなどが写真で紹介されており、サンフランシスコ交響楽団がどういうものかがわかります。