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OPERA@the ball park

サンフランシスコ・オペラでは、恒例のサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地である AT&T PARK での無料野外公演があります。

今年(6月5日)の演目は、プッチーニの「トスカ」。

この公演は、サンフランシスコ・オペラの本拠地ウォー・メモリアル・オペラハウスから公演を同時中継し、野球場のスクリーンで放映するもの。

8時開演で6時半に開場なのですが、開場前には野球場を取り囲む行列。

野球場は湾に面したロケーションなので、地元の人たちはダウンジャケットに毛布持参で完全防備。昼間はタンクトップで街を歩いている人も結構いるので落差がすごい。日本から行くと、サンフランシスコの気候にはついていけない。

7時を過ぎて会場に入ったら、芝のフィールドはすでに人がいっぱいなので入場制限したと言っていました。

公演の進行役は、地元FM局 KDFC のDJ二人。男性の方は、サンフランシスコ交響楽団のブロードキャストも担当している方。

中継はまずスピーチがあり、次いで国歌斉唱。

公演は、カメラワークも工夫してあり、字幕もついてよくできていました。とても同時中継とは思えないレベルでした。

音は満足できる範囲でしたが、声を出しやすい声域の音をマイクがよく拾うので、そこが突出して聴こえ、SYMPHONY@the ball park は無理だなと思いました。

演出は、これぞトスカという王道をゆくセットと衣装。

1幕終わりのスカルピアの一人語りも、2幕トスカの「Quant?」のセリフからも、星は光りぬも満足です。

カーテンコールでは、一人ひとりがジャイアンツ・グッズを持って登場し、場を沸かせていました。

お客さんはちびっこから年配のご夫婦まで幅広い層2万人以上が、ビール飲みながら、ガーリック・ポテトやホットドッグを食べながら観ていたのですが、野外だったせいかおしゃべりの声もあまり気にならず、人数の割りに皆お行儀よくオペラを観ていたのが不思議な感じがしました。

幕間には野球の試合でみんなが歌うジャイアンツの歌のサンフランシスコ・オペラ版を歌ったり、来シーズンの予告映像などもあって楽しめました(来シーズンから音楽監督になる二コラ・ルイゾッティのキャラが濃~く、MTT=時間がたってもさらっとテカらない と対照的で期待できそう)。

前にも書きましたが、オペラもバレエもシンフォニーもシニア層の男性ボランティアがたくさん活躍していて、皆さんカッコいいのです。そこが素晴らしいと毎回思います。

日本でも東京ドームで無料のオペラをやったら、こんなふうに皆が来るかな?と考えてみましたが、こちらでお客さんのベースを占めているのは、大人のカップル。それも50歳代以上が目立つ。日本だと男性クラヲタとおばさまグループ中心になってしまうので、まずはカップルで行動するところから始める必要があるのかもしれないと思いました。

今回の公演は入場無料でしたが、事前にウェブで登録するようになっていました。公演終了時刻を見計らってEメールが届き、ボールパークに来た人限定で、今シーズンの残りのトスカとトラヴィアータが50%オフになるとのオファーが!

さすがのウェブマーケティングでした。

【キャスト】
指揮:Marco Armiliato
演出:Jose Maria Condemi
トスカ:Adrianne Pieczonka
カヴァラドッシ:Carlo Ventre
スカルピア:Lado Ataneli

(2009.6.5)