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MTTは世界に打って出るらしい~2010-2011シーズン・プログラム発表~
オープニング・ガラは、ジェシー・ノーマンでデューク・エリントン!
サンフランシスコ交響楽団が2010-2011シーズンのプログラムを発表しました。内容は、2011-2012シーズンの創立100周年に向けて、来シーズンは外に向けても活動するというもの。
注目は、2回のヨーロッパ・ツアーでマーラーを演奏してまわること。特に2011年5月にウィーン市が開催する、2010年のマーラー生誕150年と2011年の没後100年を記念する行事(ウィーン芸術週間がマーラー特集ということ?)に参加、4公演でマーラーの2,6,9番を演奏します。
サンフランシスコ・クロニクルのジョシュア・コスマン氏のインタビューでティルソン・トーマスは、
「唯一つの最も大きなことは、世界がサンフランシスコ交響楽団の演奏レベルを知るべきだということ」
と発言。ここ数年だけ見てもオーケストラの音の輝きや繊細さが向上したことから、MTTはやる気になったらしい。確かに、私が彼らのコンサートに行き始めた頃(2006年)と比較しても、サウンドや表現は磨きがかかっていると思います。
また、MTTには安住している場合ではないという思いもあるよう(成功事例というのは、研究されて、それを超えようと挑まれる運命にあるから)。
マーラーをツアーでやるためには、サンフランシスコでもコンサートで取り上げて準備する必要がある訳ですが、サンフランシスコの人々はもうさんざんマーラーを聴いているから、ローカル的には「またマーラー?」になるリスクがあるのだけれど、それでもやって海外に持って行くことに決めたのだそう。
せっかくあれだけのものを作り上げて、今オーケストラの状態も素晴らしいのだから、サンフランシスコ以外の多くの人に聴いてもらうことは、非常に価値があることだと思います。だから是非出て行くべきと私も思う。
以下、2010-2011シーズンのハイライトをご紹介
ヨーロッパ・ツアー
- 2010年9月
ルツェルン音楽祭(プログラムはルツェルン音楽祭の発表どおり)とミラノ、トリノ
マーラーは5番
- 2011年5月
ウィーン(マーラーのメモリアル)、パリ、マドリッド、プラハ、ブリュッセル、ルクセンブルク、エッセン、バルセロナ、リスボン
マーラー中心に演奏、2,6,9番
- 毎年やってきたカーネギーホール公演はお休み
オープニング・ガラ
ゲストはジェシー・ノーマンでデューク・エリントン(聴きたい)。これに組み合わせる曲は、ベルリオーズのローマの謝肉祭とラヴェルのダフニスとクロエ第2組曲。
プロジェクト・サンフランシスコ
彼らが100周年に向けて取り組んでいるコンポーザー・レジデンシーとアーティスト・レジデンシーで、一人のアーティストを数週間にわたっていろいろな角度から特集するシリーズ。
コンポーザーはジョン・アダムズ。SFSの歴史を振り返ったときに欠かせない作曲家であり、今まで委嘱した作品や室内楽等を特集。彼には100周年記念の新曲も委嘱。
アーティストはユジャ・ワン。今が伸び盛りにつき、何が出てくるか楽しみ。MTTとの共演は、バルトークのピアノ協奏曲第2番。
KEEPING SCORE season 3
マーラー編のテレビ放映は、2011年春を予定(ウィーンのマーラー・メモリアルに登場するときに、DVD/Blu-rayが揃うようにする模様)。
当初今シーズンに予定されていた新しいラジオのコンテンツも同時期に放送予定。
このスケジュールだと、マーラー編のコンサート映像は、既に収録したものを使うのかもしれません。
いずれにせよ、マーラー編は予想より早く視聴できるということでめでたし。
トーマス
来シーズンのMTTは、17週に登場。毎シーズン何かしら今までにないチャレンジをやっていますが、来シーズンは指揮者になって初めてベートーヴェンのミサ・ソレムニスを取り上げる他、ブルックナーの7番も。
オーケストラ・メンバーをフィーチャー
特にティルソン・トーマス指揮のコンサートで、オーケストラ・メンバーがソリストとして活躍する企画がいくつも組まれています。ヴィラ-ロボス、フェルトマンの作品など。
大量の珍しい曲知らない曲
来シーズン、新作はRufus WainwrightとAvner Dormanの2作品。この他にサンフランシスコ交響楽団が初めて取り上げる曲が18曲。
プログラムを見ると、珍しい曲や知らない曲がズラッと並ぶ。興味のある方は、リリースをご覧ください。
ついでに、名前見てもわからないアーティストもたくさんいます。
総括
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の2010-2011シーズンのキャッチ・フレーズは、
PART MUSIC, PART MAGIC
何だか目の前で異星人が前人未踏の領域に踏み出しているのを見ているような感じがしますが、いったいどこまで行けるのか?いよいよもって佳境。
詳しくは
サンフランシスコ交響楽団のリリース
サンフランシスコ・クロニクルの記事
(2010.3.3)