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MTTとロンドンの聴衆との対話
2012年1月24日にロンドン交響楽団で行われたイベント「アーティスト・カンバセーション」がネットにアップされました。ロンドンのオーディエンスとマイケル・ティルソン・トーマスの対話です。
ロンドン響は、いつも聴衆との接点をたくさん設ける努力をしているオーケストラ。その努力のおかげで、私たちもこの対話の内容をシェアできる。
Facebook経由や会場のオーディエンス、お相手のLSO首席フルート奏者のGareth Davies氏の質問に答えるもの(Facebookで生中継された)でしたが、話題にのぼったのは、
- プログラミングの話。どうやって考えるのか?という質問に、「おもてなしのディナーの献立を考えるようなもの」と答えるトーマス(その後、具体的に説明している)。最近は料理に例えるのがお気に入りのもよう。
- 指揮者によって同じ曲に違いが生まれることについて。どうやってアイディアを得るのか?
- 新しい曲をどうやって勉強しているか?
- 若い音楽家に教えるときに重視していること
- コンサートで皆の知らない曲を演奏して興味を持ってもらうにはどうしたらいいか?
- (小規模なグループで活動している人から)オーディエンス開拓のアドバイスがほしい
- KEEPING SCOREの企画がどう組み立てられたのか、ファンディングも含めて教えてほしい
- クラシック音楽がインターネットを活用することの意義がどこにあるか
- オーストラリアへの演奏旅行の予定はないのか?(私がウォッチしてきた限りでは、MTTに自分の国へ来てほしいという要望はよく見る)
等々。
私はこのビデオを見て、みんなMTTのことをよく見ているなということと、みんなが着目する点、みんながMTTに聞きたいことというのは同じなんだなと思いました。そして音楽を勉強している人や演奏活動をしている人、音楽の指導者からと思しき質問が集まるというのも、MTTという存在のあり方や活動を象徴しているのだと思います。これらの質問に対し、トーマスはすごく興味深いことをたくさん話しています。
最後の質問がトマシェフスキーの話で、トーマスが自分の音楽的ルーツについて触れ、(こうで、こうで、、、、と説明があった後で)したがって、自分は高い教育のある村の音楽家なのだと結んでいました。まことに的確な自己分析。そして、こう言える今というのは、トーマスは自分のありようや音楽に自信があるんだなと思いました。20年前にはこうは言わなかったでしょうから。
それにしてもいつも私の目が行くのは、トーマスの姿勢。あんなに派手に足を組んで、ずっとその姿勢を維持していられるということが、そもそも不思議。
(2012.1.28)