トップ>here
KEEPING SCORE マーラー編のドキュメンタリー上映会
ウィーン芸術週間に参加中のサンフランシスコ交響楽団。5月22日は朝11時から彼らが自主制作したKEEPING SCOREシリーズのマーラー編新作ドキュメンタリーの上映会がありました(会場:コンツェルトハウスのべリオ・ザール)。
最初にこのプロジェクトを率いるゼネラル・マネジャーのジョン・キーザー氏よりプロジェクトについての簡単な紹介があり、上映開始。
私はオリジン編(前半)のみ見ていて、レガシー編(後半)は初めて見ました。2本続けて見てみて、非常に面白かったです。よく出来ていました。
中身は話すとネタバレになってしまうのでぜひDVD/Blu-rayを見てください!なのですが、オリジン編が交響曲第1番のみにフォーカスしているのに対して、レガシー編に残り全部が詰まっているので、もっと駆け足での紹介に終始しているのかと予想していたのですが、メリハリがつけられていて、MTTが主張したい部分には時間をかけていました。
上映の後はQ&Aセッション。会場からはマーラーの録音だけではなく、ドキュメンタリー制作などプロジェクトが広がっていた経緯についての質問がありました。10年がかりで楽団がマーラーに取り組んできたこと、ティルソン・トーマスが音楽監督になって最初の頃からマーラーを演奏したコンサートに成果があったことがきっかけであること、主な資金を提供した財団がオーケストラのアクセシビリティ向上に意義を見出したこともあり、経済的な理由や子育てなどを理由にコンサートホールに行けない人々も楽しめるようなものをつくろうということになったことをあげていました。
またこのKEEPING SCOREプロジェクトでは教育プログラムも大きな柱であり、公立学校で科学や算数、国語などの主要教科の学習素材として展開されていることも強調していました。
他の質問では、同じテーマに関して別々に撮ったロケーションやコンサート映像、トークもティルソン・トーマスだけではなく、何人もの楽団員がコメントしたものが組み合わされているが、どうやってつくったのか?というもの等々がありました。
こんなにマーラーの音楽の内部に迫ったドキュメンタリーを初めて見た。ありがとう!と話した人もいました。本場でそう言われるとは、創った甲斐があったというもの。
今回のツアーでは、プラハでも同様の上映イベントを開催(こちらはMeet Michael Tilson Thomas というイベントでトーマスも出演)。KEEPING SCOREマーラー編のドキュメンタリーは、コンサート映像とセットでウィーンで6月に開催されるフィルム・フェスティバルにも出展される予定とのこと。
(2011.5.22)