トップ>おすすめ本のご紹介>here

70円で飛行機に乗る方法

格安旅行の指南本ではありません

タイトル見て、格安旅行のノウハウが書いてあるのかと期待して読むとがっかりします。この本が言いたいことは、

個人が自由に世界中を行き来できる世の中になったのだから、そのメリットを享受して外に出よう!

というマインド面なのです。そして世界中を自由に行き来できるようになったのは、航空革命とも言える航空業界の変化によるとして、タイトルにもある格安で乗れるローコストキャリア(LCC)や航空業界の変化、航空機の進化、空港の進化などの話が紹介されています。

現在、異常な原油高により、ローコストのインパクトは薄れているのでしょうが、それでもヨーロッパ、アメリカ、日本以外のアジアにはLCCがいくつもあって、それが人々の行動まで変えたとは知りませんでした。

昨年ロンドンへ行ったとき、グラインドボーン音楽祭の帰りに終電に乗り遅れ、始発電車でロンドンに帰って来たのです(この話は、グラインドボーン音楽祭に個人で行く方法に書きました)。そのとき早朝にもかかわらず、途中空港最寄り駅(ヒースローではない。名前忘れた)に人がたくさんいて「何?」と思ったのですが、これはきっとLCCで移動する人たちだったのでしょう。

個人の開国

この本が主張するように、日本では国が航空行政に対するスタンスを変えて、現状が改善されるのを待っていても埒があかない。だから個人レベルで開国し(お金をかけない方法は、韓国の仁川をハブにするとか、アイディアを工夫すればある)、自由に海外と行き来する中で経験を重ね、グローバルな行動から日本はどうあるべきかを考えられる人になろうではないかという意見、私も賛成です。

とにかく、日本にいて見える「世界」は、日本の外にあるものとは違うということを一人ひとりが認識すべきだと思います。

このサイトもティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団を素材に、結局はそれを言っているのです。

こればかりは、外へ出ていろんな面でかなり違うということを実感しない限りわからない。だから外へ出てみるということに意味があるのだと思います。

デジタル化できないもの

さらにこの本では、ITによりデジタル化できるものとできないものに分かれた。どんなに技術が進歩しても、その場所に行かなければわからないのが「体験」なのだと指摘しています。

これも全く同感で、私は自分がどんなにティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の話を書いても、伝わるのは一部に過ぎないと思っています。日本人がライヴを体験しない限り、サンフランシスコ交響楽団が本当のところどうなのかはわからないということは、MTTにも伝えました。

最近は、インターネットで何でも見られるから、海外に行く必要性や興味を感じない人が増えているそうで、そら恐ろしい話です。

インターネットが発達し、既存メディアが弱体化した。このことが意味することは、各人の情報収集能力の差が、いまだかつてないほどアウトプットに影響してくるということだと思います。既存メディアが頼りないということは、それだけを見ていれば一応はフォローできた時代とは違うということです。

またインターネットの情報は膨大だし、情報収集ツールを使いこなすにも能力が必要。

そして集めるだけではなく、その情報を使ってどう行動するかが問われるのだと思います。

そんな中この本は、とりあえず行動してみようという元気をくれます。