7.地元密着オーケストラ道
サンフランシスコといえばサンフランシスコ・ジャイアンツですが、サンフランシスコ交響楽団も野球と同じくらい多くの人に愛されることを目指してがんばっています。
継続的な信頼関係
地元密着とはどういうことか?私が彼らを見て一番感じたことは、「継続している関係」であり、そこには「信頼」が欠かせないということです。これは東京に住み、1回の公演を各々独立したものと捉えていた私には新鮮でした。
彼らのビジネスは全て、生活に近いところにシンフォニーがあって、何度も聴くオーケストラだという関係。そしてシンフォニーに行くと何かインスピレーションが得られて、生活のアクセントになるということをお客さんが思ってくれているという信頼の上に成り立っているのです。
だからデイビスホールは客席の空気があたたかい。
地域での無料コンサート
彼らは地域への貢献に対するコミットメントとして、年に3回程度地元の公園などで無料の野外コンサートを開いています。またこれ以外にも地域の様々なイベントにシンフォニーは欠かせない存在として活躍しています。
ボランティア大活躍
サンフランシスコ交響楽団の活動を支えているのは、多くのボランティアです。デイビスホールのシンフォニーストア、ご案内係、ボックスオフィスのスタッフ、リセールストア(日本でいうところのリサイクルショップ)、オープンリハーサルのホスト、教育プログラムの講師、イベントスタッフ、オフィスでの事務など、ボランティアの活動領域は広く、幅広い年代の方が活躍しています。
オーケストラメンバーは地元の顔
彼らは様々な場面でオーケストラメンバーを露出し、地元の人に顔と名前を覚えてもらうよう努力しています。最近ではその成果もあり、オペラグラス持参でコンサートにくるお客さんが何人もいます。
オーケストラメンバーが単独でも登場するのは、スペシャルイベントなどでのお客さんとのコミュニケーションの機会をはじめ、プログラムの表紙、KEEPING SCOREのドキュメンタリー、トーク付コンサートでのトーク、地元の新聞など。
チャイナタウンの街
サンフランシスコには全米最大規模のチャイナタウンがあります。シンフォニーでも毎年恒例の春慶節をお祝いするコンサートを開催しています。また最近では、彼らの重点地域であるサウス・ベイのGoogle本社があるマウンテンビューでも野外コンサートを開くなど、地域の動向に常に敏感に動いています。
地域一体で盛り上がる
彼らのスペシャルイベントや教育プログラムは、他のサンフランシスコの諸機関と連携して行っているものが多いです。
また彼らはウェブサイトで、コンサート後に楽しめる地元のレストランを紹介していますが、シーズンオープニングのガライベントでは、サンフランシスコの50以上のレストラン(さすがグルメの街)が料理を提供するなど、地域一体が盛り上がるような仕掛けを考えています。