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2008年の締めはトマシェフスキー
ティルソン・トーマスの2008年最後の仕事は、出身地ロサンゼルスでの The Thomashefskys。
ロサンゼルス・タイムズに詳しいレビューと写真が載っています。
今年はこのThe Thomashefskys を6月にシカゴ交響楽団(2公演)とサンフランシスコ交響楽団(5公演)、12月にロサンゼルス・フィルハーモニック(3公演)で実現させました。
私は最初シカゴ公演に行こうと計画し、シンフォニー・センターの座席数からトマシェフスキーなんてチケット余っているだろうと高をくくっていたところ買い損ないました。シカゴはティルソン・トーマスの祖父母ゆかりの地らしいのですが、恐るべしユダヤ人コネクション。
サンフランシスコで5日もやって客が入ったというのにもびっくりですが、さすがに客席はいつもよりずいぶん平均年齢が高かったです。若い人にとって、イディッシュ・シアターは遥か遠い話なのでしょう。
ティルソン・トーマスは、今後トマシェフスキーをテレビとラジオで展開すべく準備中とのこと。
ブロードウェー・ミュージカルの源流となったこの劇場文化ですが、音楽がどういうものだったかという資料がほとんどなく、断片的な記録しかありませんでした。そんな状況で唯一の手がかりは、ティルソン・トーマスが子どもの頃に祖母が歌って聞かせてくれたり、ピアノで伴奏した記憶。口頭伝承なのです。ティルソン・トーマスは一人っ子だから、この情報を持っているのは彼しかいない。彼がトマシェフスキーのプロジェクトを
ラストチャンス
と言うのは、まさにその通りで個人的には優先順位1位なのでしょう。もしきちんと映像なり音声のアーカイブにして、ジューイッシュのミュージアムなり財団なりに保有してもらえれば、貴重な資料として後世に引き継ぐことができるのですから。
2008年のティルソン・トーマスを振り返ると、ニュー・ワールド交響楽団20周年をはじめ、このトマシェフスキー、バーンスタイン・フェスティバル、マーラーの交響曲の録音が完結したことなど、本当に大きな成果だったと思います。
今日12月21日はティルソン・トーマス64歳のバースデーですが、いつまでも元気でMTTワールドを極め、いろんな面でみんなをあ然とさせ続けていただきたいです。
(2008.12.21)