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10.経営プロフェッショナル

私が最初にサンフランシスコ交響楽団に興味を持ったとき、ティルソン・トーマスがビジョナリーでリーダーシップがあると思いました。だから始めは彼の力が大きいのかと思っていたのですが、その後いろいろ見たり読んだり、はたまたシンフォニーの方とお話させていただき、違うと気づきました。

サンフランシスコ交響楽団は、ボード、アドミニストレーション、MTT、ミュージシャン、地元の応援の総合力以外の何ものでもありません。

そのどれが欠けても今の成功はなかったと思います。

特にアドミニストレーションはプロフェッショナル揃いで、旧来的なオーケストラの枠組みにとらわれない新しい試みに次々とチャレンジしています。

彼らが毎年出かける海外ツアーひとつとっても、必ずプログラムにアメリカ作品を盛り込むこと、彼らの活動紹介やミュージシャンが現地のお客さんと交流する場を設けるなど特徴を打ち出しています。また著名な音楽祭に集中して参加するなど、彼らの海外での評価を高めるという目的に対して非常に戦略的です。

資金調達では、対象別、切り口別に担当を張りつけ専門化、知恵と提案力で10百万ドル単位の大口のファンドレイジングを成功させています。彼らのやり方を見ると、いくつもの方法や金額から最適な出資を選べる点、支援の依頼の仕方、資金の出し手への感謝の意を目に見える形で表すことを徹底するなど参考になる点がいくつもあります。

音楽面でも彼らは毎年6月に約2週間にわたり、一つのテーマを掘り下げるフェスティバルを行っています。これはオーケストラのレパートリーや演奏レベルをステップアップさせるためには効果的でしょうが、何人ものソリストを確保することや資金面でマネジメントは大変だと思います。それでも支援イベントやフェスティバルのムードを全体で盛り上げることでホールを埋め、継続させています。

デイビスホールは本当に客席が埋まっているし、ホール全体にサンフランシスコ交響楽団の“気”があります。これは彼らの努力の成果だと思います。

彼らのプレスリリースを見ると、こんな方法があったのだという驚きの連続なのです。