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4月から Keeping Score の新しいラジオシリーズが始まる
サンフランシスコ交響楽団がマルチメディア展開している KEEPING SCORE プロジェクトで、新しいラジオシリーズが始まります。今回のテーマは、
13 Days When Music Changed Forever (音楽を永遠に変えた13の日)
ティルソン・トーマスがパーソナリティを務め、音楽とお話で構成される1時間番組が13本。WFMTネットワークで放送され、KDFCだと4月3日スタートで毎週日曜夜6時(日本時間月曜朝10時)。オンデマンドで聴けるかわからないので、日本で聴く場合は、とりあえずKDFC経由がよさそうです。
前回の The MTT Files はティルソン・トーマスのパーソナルな経験に重きを置くものでしたが、今回はより幅広い題材を取り上げています。
追記:初回の放送を聴いて
私はこれまでのKEEPING SCOREのコンテンツからして、てっきりMTTが話すのだと思っていましたが(そんな時間あるのかと思ったら、やっぱりなかった)、前回のラジオシリーズでお相手をしたスザンネ・ヴェガの台本をもとにした一人語りと音楽で構成され、途中にSFSのメンバーやMTT、専門家の発言も入るというつくり。
教科書的な内容で、車の運転でもしながら聴いて「へー」という感じ。
(2011.4.4)
追記:オンデマンドで聴けるようになりました
→こちら
(2011.6.2)
番組のラインナップ(どれもMTTらしい切り口)
エピソード1:1607年2月24日 モンテヴェルディの「オルフェオ」初演
教会音楽の発展から非宗教的な音楽が勃興していく転換を「オルフェオ」以前の音楽も交えつつ取り上げる。
エピソード2:1723年4月22日 バッハがライプツィヒでカントルに就任
バッハを起点にメンデルスゾーン、ストラヴィンスキー、シェーンベルク、スティーブ・ライヒ、そして The Doors の Light My Fire へと、バロックがどうつながって行ったかを探求する。
エピソード3:1787年10月29日 「ドン・ジョヴァンニ」のプラハ初演
モーツァルトのオペラとそのワーグナー以降への影響を取り上げる。
エピソード4:1803年8月8日 パリのピアノ・メーカーが新製品をベートーヴェンに提供
新しい楽器とテクノロジーが音楽を変えてきた歴史を取り上げる。表現の幅を変えた例として「ワルトシュタイン」ソナタ。20世紀のレコード、コンピューター、インターネットの登場についても。
エピソード5:1805年4月7日 ベートーヴェンの「英雄」初演
音楽が何を表現するかについての考えを変えた作品として「英雄」を取り上げる。この曲はKEEPING SCOREの最初のシリーズでも取り上げられました。やはり非常に重要だと考えているのでしょう。
エピソード6:1876年8月13日 バイロイトの「指環」立ち上げ
神話を題材にしたことの意味、なぜワーグナーが嫌いな人にとってさえも重要かについて。
エピソード7:1889年5月6日 パリでエキスポが開幕
ドビュッシーが初めてガムランを聴いて以来、ワールド・ミュージックが西洋のクラシック音楽に取り込まれていった歩みについて。ブラームス、マーラー、バルトークの民俗音楽、コープランドやガーシュウィンのラテン・ダンス、スティーブ・ライヒのアフリカの打楽器音楽など。
エピソード8:1909年1月5日 「エレクトラ」初演
モダニズム初期の作品であり、今なお衝撃的である点について。
エピソード9:1913年5月29日 「春の祭典」初演
楽器の用い方、リズム、不協和音、20世紀で最も重要な作品の一つとして。初演のスキャンダルも演奏史に残る。
エピソード10:1926年12月26日 「タピオラ」初演
シベリウスの交響詩「タピオラ」は、第8交響曲が実現しなかったために、彼の最後の主要な作品となった。シベリウスの時代はグリークに見られるような国民音楽の時代であったが、今聴くとそれがいかに先進的であったかについて取り上げる。
エピソード11:1931年1月10日 アイヴズの「ニューイングランドの3つの場所」登場
当時の聴衆から喝采を受けられなかったアイヴズに始まり、コープランド、ケージとそれ以降がいかに「アメリカの」クラシック音楽を作り上げて行ったかについて。
エピソード12:1936年1月28日 プラウダでショスタコーヴィチが糾弾される
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」から交響曲第5番に至る経緯を取り上げ、音楽と全体主義国家との関係を探る。
エピソード13:1964年11月4日 Terry Riley の“ In C”初演
セリー主義の厳格な構造や学究的な作曲家の堅苦しさへの反発からミニマリストが登場してきた、その最初の作品を取り上げる。
Keeping Score マーラー編の DVD/Blu-ray
サンフランシスコ交響楽団の eStore でプレオーダーが開始されています(2枚組)。
マーラー編のインタラクティブ・ウェブサイトのコンテンツは、4月のアップロードを予定。
(2011.3.25)