第7回 演奏するのはブーレーズ、聴くのはジェームズ・ブラウン!
今回はジェームズ・ブラウンが亡くなる半年前に収録したという、ティルソン・トーマスの彼へのインタビューとその音楽がティルソン・トーマスの音楽観に与えた影響についての話です。
ウィーンでMTT&SFSのストラヴィンスキーの三楽章の交響曲を聴いたとき、私は「ノリノリでビートのきいたリズム」に、ウィーンで聴いた他とは「違う世界に来ちゃった」ように感じたと旅行の感想で書きましたが、まさに今回の話は、なぜティルソン・トーマスの音楽がそうなのかという核心部分を話しています。
初めてカーラジオで流れてきたジェームズ・ブラウンを聴いたとき、思わず車を止めてしまったというMTT。その後本人に会い、ライブに行き、新譜を心待ちにして何度も何度も聴いたという崇拝者なそうです。
彼の音楽がティルソン・トーマスをとらえた点は、エネルギーのレベル、精度、時間の感覚(空白も含めて)、とがったところなどだそうです。これらをあげている点が非常にMTTらしい。
ジェームズ・ブラウンはスピリチュアルに降ってきたものをアウトプットしているだけなそうですが、他のバンドのメンバーにどう”SUGGEST”するのかとの問いに、「”SUGGEST”などしない。伝えるだけだ」と答えが返ってきました。ここで”SUGGEST”という言葉が出てきたところが全くもってMTT。
彼が「私が多くの音楽学生の一人にすぎなかったとき」と言っていたのも、何だか重みがあるというか、感慨がありました。
今回の話は、とにかく聴いてみてとしか言えません。ここで紹介しているジェームズ・ブラウンの曲を聴くと、なぜティルソン・トーマスはああなのかがよくわかります。ジェームズ・ブラウンの曲とMTTの「春の祭典」を交互に聴かせるシーンがあるのですが、そっくりです!
(2007.5.30)