第4回 ストラヴィンスキーの著作権ブルー
今回は、ストラヴィンスキーが「火の鳥」で大成功したにもかかわらず著作権が保護されていなかったためにお金で苦労した話が中心なのですが、ティルソン・トーマスが若い頃のストラヴィンスキーとの思い出やこの作曲家に対する思いが多く語られています。
まず作曲家は作品からどうお金を得るのか、音楽ビジネスの歴史を16世紀から概観します。そしてストラヴィンスキーが著作権の非保護のせいで少ないお金しか手に入れられなかったところから出発し、どうやって自分の作品でビジネスを展開したのか、その軌跡をたどる中で多くの作品やピアノラをはじめとする編曲ものを紹介しています。
ピアノラというのは、自動演奏ピアノらしいのですが、演奏者がテンポやフレージングを変えられる(?)と説明していました。どんな楽器なのでしょう?「火の鳥」を演奏していましたが、音が多くて普通に一人で演奏することは不可能。楽器を見てみたいです。
ストラヴィンスキーが自分の著作権で苦労したにとどまらず、自らの作品で人の著作権を侵害してしまい、著作権料を払うはめに何度もなったという話が面白かったです。ストラヴィンスキーの曲と原曲を聴き比べできるようになっています。
ティルソン・トーマスの若い頃のエピソードで、オーケストラは「火の鳥」を演奏していたのだが、指揮者のストラヴィンスキーは「ペトルーシュカ」を振っていて、それが見事に合っていたという話、よっぽど印象に残っているみたいで、彼はこの話が好きです。他でも聞いたことあります。
今回のラジオシリーズは、切り口や話の展開はもちろん、紹介している音楽のラインナップに毎回驚嘆します。何で知っているのだろうと思うし、どうやって調べたのだろうとも思います。マイケル・ティルソン・トーマス60年の音楽人生を大放出という感じで、まさに「The MTT Files」。
(2007.5.2)