KEEPING SCORE

第3回 アメリカを音楽で表すと? その2

コープランドを題材にアメリカのクラシック音楽を考えるというテーマの後半部分で、モダニストからポピュリストへの転換とそれ以降を扱っています。

モダニストとして猛威(?)をふるっていたコープランドに転機となったのは、社会情勢の影響もあって、労働者などの普通の人々の生活とアーティストとしての自分との距離を考えるようになったことでした。そこからプレーンでシンプルな音楽へと転換していきます。

ティルソン・トーマス(MTT)は、コープランドの音楽はアメリカのランドスケープを描いていて、そしてこれを取り上げている作曲家は他にもたくさんいるけれど、他と違うのは、人々の感情を取り込んでいる点にあると考えているそうです。今コープランドの作品で多く演奏されているのは、第二次大戦前〜戦争中に書かれたものが多く、それは人々に肯定的な感情やアメリカ人であることの良い部分を感じさせる作品であるとのこと。

今回のラジオ版では、テレビシリーズでは取り上げなかった映画音楽や「アパラチアの春」以降の作風についても触れています。

アバンギャルド作品の「Symphonic Ode」のニュー・ワールド交響楽団の初回リハーサルの様子も公開しています。これは大変な難曲なそうですが、さすがの将来を嘱望されている若者たちも自信なさそうに弾いていて、途中崩壊。それでも声のトーン一つ変えることなく作品の構造を淡々と説明するMTT。

それにしても、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団コンビに「ビリー・ザ・キット」や「エル・サロン・メヒコ」は非常に似合っています。ヨーロッパツアーでも平然とこういうのをやればいいのに!

(2007.4.18)

第4回 ストラヴィンスキーの著作権ブルー