トップ>here

祝 サンフランシスコ交響楽団の99回目のシーズンが開幕

9月7日(現地時間)サンフランシスコ交響楽団の99回目のシーズンが開幕しました。

オープニング・ガラはラジオでも生放送されましたが、長かった。
まさか、MTTがガラでもしゃべるとは思いませんでした。

彼も言っていましたが、今年はガラに初めてSFSコーラスが出演したことが、彼らの歴史にとって大きな一歩。しかもコープランドのアカペラ曲(In the Beginning)で、コンサート前半のほとんどを占めるボリューム。ガラには普段あまり聴きに来ないお客さんもいるから、コープランドと曲について話して(教育して)、ちょうどよかったのではないでしょうか(話長かったけど)。

こういう曲を取り上げられることも、本当に今だからこそできることなのだと思います。

演奏の方は、1曲目ローマの謝肉祭序曲は、KEEPING SCOREの幻想交響曲の解釈の延長線上にあるもの。繊細でした。

2曲目 In the Beginningは、ジェシー・ノーマンをソリストに大きな挑戦だったと思いますが、アメリカの声楽曲の特徴が浮かび上がる演奏で成果を出していました。合唱ディレクターのログナー・ボーリン(ブーリン?)の貢献は非常に大きい。

コンサート後半に入り、始めはジェシー・ノーマンでエリントンの曲。カウントで曲を始めていました。ノーマンの歌はちょっとビミョウな気もしないでもないけれど、SFSのメンバー(トランペットのイノウエ、クラリネットのベル等)が本領発揮していて楽しめました。MTTはエリントンでも練り上げ調かついつもの調子。

コンサートの最後は、ラヴェルのダフニスとクロエ第二組曲。これは春に全曲を取り上げ、ラジオでも放送したのですが、ラジオ放送を聴いたときには聴きに行かなかったことを深く後悔させる、素晴らしい演奏でした。

「夜明け」の表現は、その前から続いて始まると、そのスケールと情景の描写に圧倒されるのですが、「夜明け」から始まっても十分インパクトがありました。ただ、聴き進めるにつれ、

これをルツェルンでやるのか??別にいいけど、リスキーすぎやしないか???

と頭をよぎる。MTTは非常に難しい、のるかそるかみたいなことをずーっとやっている(やらせている)のでした。ツアーでこのレベルで演奏できたら、驚異的だけれど。

ラジオ放送の休憩時間に流していたインタビューで、ティルソン・トーマスはルツェルンで演奏することに関し、自分たちの演奏がリスク・テーキングであることや、独自の観点(view)に基づいていることをヨーロッパの聴衆に聴いてほしいと話していましたが、その言いっぷりからすると本当にやるつもりのよう。自信もあるのでしょう。

マーラーとベートーヴェンがチャレンジングなことはわかっていたけれど、ダフニスとクロエも全然負けていない。そこまでチャレンジするというのなら、

全力で応援しようじゃありませんか!!!

オープニング・ガラのプログラム

Berlioz:
Roman Carnival Overture
Copland:
In the Beginning
Ellington:
"Don’t Get Around Much Anymore," "Come Sunday," "Heaven," "Sophisticated Lady," "It Don’t Mean a Thing (If it Ain’t Got That Swing)"
Ravel:
Daphnis et Chloé, Suite No. 2

私はラジオのスイッチを切ってしまいましたが、この後アンコールがあったもよう(バッカスの行列)。

(2010.9.8)