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教育者 ティルソン・トーマス

ティルソン・トーマス(MTT)の活動の中で、大きなウェイトを占めるのは、教育活動です。

彼は支援者を得て、1987年にフロリダのマイアミにニュー・ワールド交響楽団(New World Symphony)を創設、芸術監督として指導にあたっています。

これは、全米の音楽院を卒業した優秀な若者を3年間アカデミーとオーケストラで教育し、プロの演奏家としての音楽性、職業観、メンタリティを身につけさせようというもの。

その目的は、生きた音楽を人々に届けられる演奏家を育てるというもので、サンフランシスコ交響楽団のミッションと似ています。

毎年1,000人以上の応募者から30人程度という超狭き門なのですが、既に630人もの人材を世界中のオーケストラに輩出しているとのこと。

内容を見ると、生活費やバス・キッチン付個室の提供(!)から始まり、ソロコンサート・室内楽・オーケストラなどの多くの演奏機会の提供、メジャーオーケストラの楽団員等のコーチ陣、舞台でのメンタル面のコーチまでいます。専用の劇場や練習場も所有。

アルバイトしなくても音楽に専念できる環境で、しかも教えてくれるのがティルソン・トーマス。オーケストラコンサートの共演者もルネ・フレミング、トーマス・ハンプソン、ヨー・ヨー・マなどのメンバーがずらり。一生分のラッキーを使い果たしちゃうのではというくらい恵まれています。

これらの活動は、フロリダ州をはじめ、多くの企業や個人の支援で成り立っているということもあり、コミュニティへのアウトリーチ活動に非常に力を入れているようです。学校訪問から、子ども向けコンサート、地元の音楽をやっている高校生のメンターになって人を育てる経験を積ませるなど、盛りだくさん。

さらにインターネット回線でアメリカの他の音楽院と結び、より多くの若者が教育を受けられる試みなどもやっています。

そしてここもやはりプロフェッショナルなマネジメントスタッフやボランティアに支えられています。

このように多くのエネルギーとお金を必要とする活動を実現させてしまっているティルソン・トーマス。彼の活動からは、人を動かすとか育てるということについて考えさせられます。

(2007.1.20)

MTT的教育法