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教育プログラム(エデュケーション・プログラム)

サンフランシスコ交響楽団は、設立まもない頃から子どものためのコンサートを開催してきましたが、1980年代後半に市の公立小学校で音楽の授業が廃止されたことをきっかけに、教育プログラムが本格化しました。

現在は、

  • 公立小学校に音楽教育をカリキュラムごと提供する

活動を中心に、様々な活動が多角的に展開されています。

また教育プログラムは、

  • シンフォニーの地域社会への貢献活動の中核

としても重要な役割を果たし、単なるアウトリーチ活動を超えて、オーケストラを地域の音楽教育機関として位置づけさせ、その存在意義を裏付けることに大きく貢献しています。

視点

サンフランシスコ交響楽団の教育プログラムを見て考えさせられることは、「音楽の何が人々の役に立つのだろう?」「音楽教育って何だろう?」ということです。

彼らの教育プログラムは、日本の学校教育における音楽の授業とは、ずいぶん趣を異にしています。日本も合唱など、優れた点はあると思いますが、これとは違う視点をもつ音楽教育を見てみることは、私たちに様々な気づきを与えてくれます。

彼らのプログラムは、より多様な音楽に接することで多様な価値観を身につけること、様々な音楽体験から思考や発想の幅を広げようとするものです。

アメリカでは多くの芸術団体が教育プログラムを展開していますが、例えばニューヨークなどの大都市では、様々なプログラムが入り乱れ、一貫した成果に結びつけるのが難しいとも指摘されています。

これに対してサンフランシスコでは、サンフランシスコ交響楽団がとりまとめとなって取り組むことで、成果を上げてきました。

民間から集めた資金で、プロの音楽家集団であるシンフォニーが何を提供するのが社会にとってベストなのか?

サンフランシスコ交響楽団のチャレンジは続きます。

活動内容のご紹介

興味のある方は、サンフランシスコ交響楽団のウェブサイトをぜひご覧ください。情報豊富に教育プログラムを紹介しています。

子どものためのコンサート

1919年から続いていて、広域のベイエリアをカバーし、年間35,000人が参加(年16回のコンサート)。対象年齢によって内容を変えている。

デイビスホールでのコンサートに先立って、スタディーガイドとCDを学校へ配布し、要請があれば、講師派遣も。 入場料5ドル。

ちゃんとコンマス、首席も参加していて、手抜きはないそうです。

また、デイビスホールでの体験を自由に絵にしてみよう!と美術教育とも組み合わせて展開、作品をパブリック・ライブラリーで発表したりしています。

Adventures in Music(AIM)

1988年から継続しているプログラム。90以上のサンフランシスコの公立小学校で、年間約24,000人の生徒が参加。ヒューストンやクリーヴランドなど他の地域のモデルにもなっている。

内容は、さまざまなカリキュラムを通して音楽経験をしてもらうというもの。4〜5人のグループに分かれたミュージシャンを学校に派遣。学校内でのアンサンブル演奏をはじめ、複数の教科にまたがるカリキュラムの提供、先生方への研修・様々な教材の提供など。デイビスホールでのコンサートでクライマックス。

コミュニティや美術館・図書館などの機関と連携して実施。無料で提供。

詳しくは、Adventures in Music 20周年をご覧ください。

↓活動を紹介するプロモーション・ビデオ
「超大国アメリカの文化力」でも紹介されました。

Opus

Adventures in Music をミドル、ハイスクールに引継ぎ、発展させたプログラム。

こちらは各学校のオーケストラやブラスバンドが対象。

シンフォニーのメンバーが毎週学校訪問し、アンサンブルのコーチをする他、指導する先生方が抱える指導上の悩み、楽譜や楽器などに関する問題、楽器の修理などにもきめ細かくシンフォニーが対応します。

また参加する生徒たちに、デイビスホールでサンフランシスコ交響楽団のコンサートを聴く機会も提供。

Take Note!

学校の校舎で行う、シンフォニー主催の音楽の夕べ。AIMの成果であるアンサンブルなどを保護者らに披露するというもの。

KEEPING SCOREの教育プログラム

2006年にKEEPING SCOREプロジェクトの一環として新たに始まった教育プログラムで、

teaching through music

すなわち主要教科(国語、算数、理科、社会など)の授業で、理解を助けたり、考えたりする素材・手段として音楽を用いようという試み。

↓活動を紹介するプロモーション・ビデオ

このプロジェクトのウェブサイトはこちら

Bass Training Program

学生オーケストラで、コントラバス奏者が足りないという問題に対処するために生まれたプログラム。前シンシナティ響の首席奏者が中心になって、器楽のクラスをサポート。年2〜3回、デイビスホールに集まってワークショップやリサイタルも実施。無料で提供。

SFS KIDS サイト

子どものためのウェブサイト。楽しみながら基礎知識を学べるよう工夫している。
SFS KIDS サイト

いろんなオーケストラにキッズサイトがありますが、その中でも非常に評価が高いです。

ファミリーコンサート

こちらは、シーズンプログラムのラインナップにある、子どもも楽しめるコンサート。

お子様向けの内容ではないところに注目です。
サンフランシスコ交響楽団のファミリーコンサート

ユースオーケストラ

1981年創設。ベイエリアのプロになる前の若者(12歳〜21歳)100名以上がメンバーになっていて、シンフォニーの教育プログラムの一つ。

リハーサルもコンサートもデイビスホールで、参加費無料(!)

サンフランシスコ交響楽団のメンバーがコーチ・メンターとなり、パート練習も指導。ユース専任の指揮者の他に、ティルソン・トーマス(MTT)はもちろん、毎シーズンシンフォニーに登場する指揮者やソリストも指導にあたるという豪華さ。

年間3回のコンサートの他に、国内外へのツアーも実施しており、高い評価を得ています。