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完璧なプログラム、のはずだった
このサイトでティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団を取り上げている理由の一つに、MTTのプログラミングが示唆に富んでいて面白いからというのがある訳ですが、今シーズン私が
「完璧なプログラム!」と思っていたのがこれ
- 5/13-15
Litolff
Scherzo from Concerto Symphonique No. 4
Chopin
Piano Concerto No. 2
Adam
Suite from Giselle
Bizet
Symphony in C major
Garrick Ohlsson, piano
このありそうでなさそうなロマン派聴き比べは、きっと発見があるはず、と思っていました。ところがここへ来て、ビゼーがドビュッシーの「海」に変更(ニュー・ワールドの使い回し)。おそらくMTTは準備が間に合わなかったのでしょう。彼は中途半端なまま演奏するということはなく、手中にある曲にしれっと変更するか、もしくは仕事自体を降りるのです。
過去MTTが降りた仕事といえば、先週NHKで放送された、カーセン演出のチューリッヒ歌劇場の「トスカ」。MTTは、トスカよりもユーチューブ・シンフォニーを選んだのですが、私はテレビ放送を見て、
これっておいしい仕事だったんだ
と思いました。テレビ放映の反響もあったようですから、MTTは出演していれば、日本人に名前くらいは覚えてもらえたかもしれない。惜しい。
7連続MTT週間
さて、今シーズンのサンフランシスコ交響楽団は、シーズン最後の5・6月にティルソン・トーマス指揮のコンサートが集中しています。
サンフランシスコ交響楽団は、ティルソン・トーマスが圧倒的にメインでありながら、間に客演指揮者の週をはさみ、オーケストラ団員も適当に息抜きしつつ、お客さんもゆるいコンサートをそれはそれで楽しみつつ、たまに「おっ」と思うような客演もあったりで1年が過ぎる、みたいなオーケストラ。
だからMTTが続くと、オーケストラにもお客さんにも負荷がかかる。みんな耐えられるのか?お客さんは入るのか? 見てみたいです。
プログラムは、MTTにしか思いつかないような組み合わせが続きます。
5/19-23
Stravinsky
Threni, Lamentations of Jeremiah
Ravel
Daphnis et Chloé
EXAUDI, vocal ensemble
San Francisco Symphony Chorus
これはそれぞれの作曲家のテクスチュアの特徴と声の扱いに着目できて面白そう。
【追記】Threniは、ヴォーカル・アンサンブルの人たちのビザがとれず、来シーズン以降に延期、下記の曲目に変更。
Stravinsky / Ode (Triptychon for Orchestra)
Bernstein / Chichester Psalms
5/27-29
Robin Holloway
Clarissa Sequence
Mozart
Bella mia fiamma—Resta, o cara
Schumann
Symphony No. 3, Rhenish
Erin Wall, soprano
エリン・ウォールは、千人のメイキングを見た限りでは熱いキャラで、いろいろとお話を聞いてみたいお姉さん。
6/5,6
Music for Families
Jamie Bernstein, host
ファミリー・コンサートは、バーンスタインの娘ジェミーさんがホストで登場。どんなお話が出るのか、興味津々。
6/10-13
Wagner
Overture to The Flying Dutchman
Berg
Suite from Lulu
Beethoven
Violin Concerto
Erin Wall, soprano
James Ehnes, violin
MTTは、よくコンサートのメインに協奏曲をもってくる。
6/17-19
Poulenc
Sonata for Piano Four Hands
Stravinsky
Capriccio for Piano and Orchestra
Villa-Lobos
Bachianas Brasileiras No. 9
Ravel
Piano Concerto for the Left Hand
Stravinsky
The Rite of Spring
Yuja Wang, piano
プログラム前半が4曲。プーランクは、テクニックではユジャの半分しか指が回らなさそうなMTTがどう出てくるかが見もの。彼女は腕の傷みを訴え、ドクター・ストップで今月いくつかのコンサートをキャンセルしましたが、彼女は普通の人みたいに腕が痛くなったりしないのだろうと私は勝手なイメージを持っていたので、このニュースに少なからず驚きました。
コンサート後半のハルサイは、おそらく録音のとおりの演奏だと思う(あれ以上いじりようがないから)。
6/23-26
Berlioz
Les Nuits d’été, Opus 7
Berlioz
Harold in Italy, Opus 16
Sasha Cooke, mezzo-soprano
Jonathan Vinocour, viola
ベルリオーズは、現在取り組んでいる作曲家のひとつ。
(2010.4.21)