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イントロダクション
マーラー・レコーディング・プロジェクトは、2001年9月にライヴレコーディングが開始され、翌年よりサンフランシスコ交響楽団の自主レーベルであるSFSメディアからCDがリリースされています。
このシリーズは、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団コンビを広く世界に知らしめるきっかけとなり、オーケストラ自主制作盤の芸術・ビジネス両面での成功モデルにもなりました。
6番、3番、7番はグラミー賞を受賞。プロジェクト好評につき対象を歌曲にも広げ、2008-2009シーズンの交響曲第8番<千人の交響曲>での完結を予定。
セールス面でも、累計でCD販売が11万枚を超え、ダウンロードが6万回(2008年11月現在)。1万枚でも成功とされる、クラシック音楽のCD販売を取り巻く状況、高価格、ハイエンド仕様、自主レーベルである点などを勘案すれば、大きな成功と言えます。
この演奏の特徴
一連の演奏は、ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団の“今”のマーラーを伝えるという発想で作られており、自然や人間の営み・感情などのあらゆる断片(ティルソン・トーマスは、
‘slice of life’と言っている)がそこかしこから聴こえてくる音楽を意図したものといえます。
プロジェクトの意図
このプロジェクトは、サンフランシスコ以外の人たちに、デイビスホールで聴くのと同じようにサンフランシスコ交響楽団のマーラーを体験してほしいということが出発点でした。
1995年にティルソン・トーマスが音楽監督になって以来、積み重ねてきた彼らの表現にとことんこだわり抜いて、最高の技術を使って世に問題提起しているようなCDです。
したがって、一般的なオーケストラの録音のように、平均的なリスナーが用いるであろうオーディオ機器や iPod などで再生することを想定した音づくりはなされていません。
ティルソン・トーマスは、このプロジェクトをクラシック音楽の録音の将来の方向性を提示するもの、年月を経ても残るような作品にしたかったそうです。