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ルツェルン音楽祭2010チケット発売顛末記
日本時間4月7日(水)午後7時にスタートした、ルツェルン音楽祭2010のシングル・チケット発売。オーダーしたチケットは、1週間も経たない4月13日(火)にはもう日本にいる私の手もとに届きました。素晴らしい事務処理。
さすがスイスは違うわ~(アメリカとは)
と思った私。何せ先だってカーネギーホールのボックス・オフィスで、チケットをボックス・オフィスに留め置きにしていたところ、一枚少なくしか準備されておらず、私がオーダーしたのはこれで全部だと言い張る窓口のおばちゃんとやりあったという一件があったばかり。Hold at Box Office は危険、郵送にすべし(でも、途中で紛失したりしないか?)と不安だったのです。ちゃんと書留で送られてきました(でも今日び一番便利なのは、自分でウェブからプリント・アウトして持って行く方法だと思う)。
デザインが意外にもおしゃれ
今後のご参考に、チケット購入までの道のりをご紹介しましょう。
まずはセット売りにトライ
まず、いつも旅行の手配をお願いしている方から、何枚も買うのなら、希望のチケットをsubscription扱いでシングル・チケット発売の前に売ってもらえないか聞いてみたら?とアドバイスを受けました。
ダメもとで問い合わせたところ、subscriptionは決められた公演のチケットの組み合わせしかできない(音楽祭の期間中に渡って分散しているので、日本からそれを使って行くのは難しい)、そもそも申し込み期限(1月)を過ぎたsubscriptionの申し込みは一切受けないので、シングル・チケットを買え、というすげない返事。
この辺りは、顧客のニーズに合わせて様々なオプションを用意しているアメオケ界との違いを感じました。
シングル・チケット発売
という訳で、シングル・チケット発売日。どのくらいサーバーが混み合うのか?面倒くさいと思いつつトライ。
私が買ったのは、サロネン、MTT、ジンマンだったのですが、たらたらとしか動かないサーバーと今ひとつユーザビリティに欠けるシステムのため、全部買い終わるまでに1時間かかりました。
その時点でアバド、アーノンクール、ラトル、ヤンソンス(+ドゥダメル)を見てみると、もうチケットはありません(ラトルとヤンソンスは演目による)。
チケット価格が(私の感覚では法外に)高いのに売れると噂には聞いていたのですが、本当でした(私は初めてだったのです)。
アバドのチケットなどは、ウェブで買えた人は本当に少なかったと思います(買えた方、おめでとうございます)。
ちなみに、私が買ったメンバーは、別にサーバーがすいてからで十分でした。
アバドを聴きたい方はツアーが一番確実だと思いますが、ヨーロッパの大きな音楽祭は、スポンサー企業が接待に使うために良い席を持っていて、余った分を直前に放出してきます。だから直前にびっくりするような良い席が買えたりすることもあります。アバドだとどうかはわかりませんが、あきらめずにチェックしてみるのも手かもしれません。
ルツェルン音楽祭を別の視点で見る
チケットを買っていて気づいたのですが、ルツェルン音楽祭は多くのオーケストラが横一列に並ぶので、ウェブでチケットの売れ行きを見ることで、どのオーケストラ、指揮者、どの曲に人気が集まっているのかがわかる。これを見るのが結構楽しいのです。プロムスなんかもたくさん参加団体がありますが、ロイヤルアルバート・ホールは大きいから、売れ行きを一覧できない(人気は当日立ち見のアリーナに集まった人数で決まる面もありますし)。その点1892席のKKLは、全席が1ページに表示されるから、比較しやすいのです。
これでわかったことは、音楽祭の看板であるアバド&ルツェルン・フェスティバル・オーケストラは別格として、超有名どころと有名曲に人気が集まっているということ。これはおそらく、スポンサー企業の引き受けと観光産業の購入が大きいことによるのでしょう。
あらためて、音楽祭は観光ビジネスだと感じた次第。
欧州各地発着の観光ツアーに組み込まれるのは多くが1公演でしょうから、そこは“ルツェルン”のありがたみを感じさせるような公演でなければ、観光産業としては売るのが難しいのではないでしょうか。そういう点で知らない人にとっては、「何でルツェルンまで行ってカリフォルニアよ?」になるティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、最も観光ビジネスにもスポンサー企業の接待ユースにも遠い存在。一番「聴きたいから来た」という人が集まるのかもしれません。
(2010.4.14)