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ルイージ指揮ウィーン交響楽団を聴く

マーラー・イヤーにヨーロッパでいろんなマーラー演奏を聴く企画。ウィーンで聴くのは、ファビオ・ルイージ指揮のウィーン交響楽団。曲はマーラーの交響曲第5番(場所:ムジークフェライン)。

ルイージ

舞台に出てきたルイージは短髪になっていて、昔に戻ったかのよう。私は彼の長い髪がとても似合っていて、よく自分に合った髪型を見つけたものだと感心していたので、残念。

ルイージのマーラー5番は、15年くらい前にウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団と来日したとき聴いて以来だったのですが、基本的に受ける印象は同じでした。

「何で?」と疑問に思うようなところはなく、どれも納得が行くものできっちり手堅い。そして熱い。

オーケストラは個々の楽器が前面に出てくるというよりも、全体が溶け合って一つになっている感じ。それがウィーンのオーケストラなのでしょう。

私は気づかなかったのですが、夫によると、5楽章でトロンボーンが朝顔(ベル)を上に向けたり、下に向けたり変えていたそうで、その都度明確な音色の変化があって面白かったとのこと。

昨日までティルソン・トーマスが続いていたので、激しい音楽の表現でもルイージとMTTでは随分違うところも楽しめました。

ところで、私がここ数年ティルソン・トーマスを多く聴きに行っている中で、他の指揮者を聴くと大きく違うと感じる点が1つあります。

何かと言うと、普通の指揮者は例えばフォルテッシモを10とすると、一つの楽章の中でフォルテッシモが出てくる度に10、10、10、10とやる。ところがMTTは一つの楽章などのまとまりの中で10が出てくるのは1回だけ。他は10とは区別し、10になったところでここが頂点だと聴き手にわかる音楽づくりをする。そして10に至るまでの道のりに方向性が見える。これがMTTが言うshapeということだと思いますが、音楽を勉強している人には大いに参考になるのではないでしょうか。

今日の演奏を聴いて、そんなことも思い出しました。

コンサートは1曲目にフンメル作曲のトランペット協奏曲(トランペット:Gabor Boldoczki)が演奏されました。私はフンメルを勝手に現代曲だと思っていたので(無知)、古典音楽が鳴り出してびっくり。オーケストラとのやりとりというより、トランペットのヴィルトゥオーゾを楽しむ音楽でしたが、トランペットの軽やかで輝かしい音がホールに響き渡り、音の多いマーラー続きだった耳に、非常に心地よい音楽でした。

(2011.5.26)