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ライブ・ショーのメッカ、ブランソンってどんな街?体験記
ミズーリ州にある“ライブ・ショーのメッカ”ブランソンってどんな場所なのだろう?百聞は一見に如かずということで、行ってみました。
ブランソンは、人口7千人の街に年間730万人も観光客が訪れる観光の街。その秘訣はどこにあるのでしょうか?
ブランソン空港には、LCC3社が乗り入れ。空港から既にディズニーランドのアトラクションのよう。
どこまでも広がる緑の丘陵地帯。
緑の中に湖もあり、ゴルフ場や家族向けのアトラクションの施設がいくつもあります。ツアーの観光客も多い。
ルート76を中心に通りの両側に70以上のシアターが並び(客席数約6万、毎日100ものショーが行われる)、夜はネオンが輝く(ただし、土地がいくらでもあるので、建物どうしは距離がある)。付近には、モーテルやレストランもたくさん。
日本人フィドラーのショージ・タブチのシアター。派手。
ショーは、ショージの確たる演奏技術に裏打ちされたしっかりとした内容でした。衣装が10回くらい変わる。日本の良さであるおもてなしの心を大切にしたショーとサービスが、この地で成功した要因とのこと。
確かに、スタッフは徹底的に親切。豪華なトイレには、洗面台を使う毎にふくスタッフもいます。ショーでは、その日の団体ツアーの名前を一つひとつ紹介。基本はカントリー・ミュージックなのですが、ミュージカルのナンバーや踊りもあり、和太鼓のパフォーマンスまである。ショージの持ち味なのでしょうが、どこか暖かみを感じさせるパフォーマンスでした。
そしてここがブランソン最大の特徴。ショーの山場で、ベテラン(退役軍人)を称えるのです。出演者から「彼/彼女たちの献身により、私たちの自由は守られています。私たちはベテランの皆さんに感謝します」というスピーチがなされ、「今日会場にいるベテランの方、ご起立ください」との声に、客席のかなりの数の人が立ち上がる。とても誇らしげ。次いでアメリカを称える歌を皆で歌う。
この光景は、日本人には驚くばかり。最初、この劇場だけかと思ったのですが、翌日行った劇場でも、観光列車でも同じ光景が繰り返されていました。
こちらに来てから知ったのですが、ブランソンはベテランに敬意を表することを前面に出してプロモーションしている都市なのでした。アメリカ合衆国の人口2億2千万人の内、1割にあたる2千2百万人をベテランが占める。軍隊というのは、組織に結束があり、同窓会的な活動も結構あることから、アメリカの中心に位置するブランソンは、どこからも行きやすいという位置的なメリットもある。毎日毎日これだけの数のショーが集積してどうして成り立つのか不思議だったのですが、ベテラン・ターゲット作戦が下支えしていたのです。
翌日行った、アンディ・ウィリアムズのムーン・リバー・シアター。
アンディは御年83歳。最初登場したアンディを見たとき、「大丈夫?」と思ったのですが、全くもってノー・プロブレム。声量がたっぷりあって、お達者くらぶどころではない、華麗なる歌声のエンターテインメント・ショーでした。私でもわかるヒット曲がこれでもかと続くところも楽しめる。
ブランソンのショーは、ニューヨークでかかっているような世界最先端のしのぎを削る世界とは明らかに違います。でもへたっぴいかというと、そんなことはない。ブランソン的不思議なバランスというか、力学が働いていて、一定以上のレベルは保ちつつも、アットホームで気軽に楽しめる。
街も目的を持って開発しているから、アメリカ的な汚い建物とか、ホームレスも見かけません。整っています。
シアターが集積する観光の街ブランソン、一見の価値ありです。
(2011.9.21)