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マゼール&ニューヨーク・フィルを聴く
ニューヨークに来たからには、ということでニューヨーク・フィルを聴きに行きました(サンフランシスコ交響楽団と昼夜ダブルヘッダーで聴きに行った)。
前回訪れたのは、10年以上前。久しぶりのエイブリー・フィッシャーホールは、ずいぶん年季が入っている印象を受けました。現在、リンカーン・センターは改修工事中です。
今日のコンサートは、「芸術の売り方」にも紹介されていた、午前11時スタートのコンサートです。お昼のコンサートは、この他に午後2時スタートの日もあります。
もちろん年配のお客さんはいるのですが、それよりも客層は幅広かったです。夜のコンサートよりも値段設定が安いこともあって、85%以上は稼動している感じです。
今の時代、ライフスタイルや働き方も多様になって、平日(金曜日だった)昼間に自由に動ける人がたくさんいるということなのだと思います。
マーラー
そして相変わらず元気なマゼール登場。1曲目は、マーラーの交響曲第10番からアダージオです。
マーラーは、私はすっかり尋常ならざる練り上げの世界に洗脳されているので、何ともという感じでした。
マゼール
2曲目は、マゼール作曲の「テナーチューバのオブリガートがある、フルートとオーケストラのための音楽」
首席フルーティストがソリストです。このマゼールの音楽がまた、
「あなたのセンスには、ついていきかねる面があることを否定は出来ない」
みたいな曲で、マゼールらしかったです。フルーティストがやたら出てくる難しい技巧部分を律儀に吹いていましたが、音楽に納得していないと顔に書いてありました。
[ソリスト]
Robert Langgevin, Flute
ブーレーズ
休憩後の1曲目は、ソプラノが登場する、ブーレーズのPli selon pli:Improvisation sur Mallarme ?
特にコメントなし。
[ソリスト]
Kiera Duffy, Soprano
バーンスタイン
そしてメインのプログラムは、バーンスタイン・フェスティバルの一環である、バーンスタイン作曲のピアノとオーケストラのための交響曲第2番「不安の時代」。
今日のプログラムは、曲ごとに編成が大きく異なり、そのために1曲ごとにセッティングに時間がかかっていました。何かセッティングばかりやっているような気がしてくるし、コンサート自体も間延びした感じがします。
曲は、バーンスタインがW.H.Audenの詩に着想したもの。 ピアノが大きな役割を果たすのですが、韓国人若手ピアニストのJoyce Yangが健闘していました。今アメリカで出てくる若手は、圧倒的に中国人と韓国人のように思います。
途中非常にジャズっぽい楽章もあったのですが、先日のバーンスタイン・フェスティバルのオープニング・ガラでいろんな面を見たばかりだったので、なるほどという感じがしました。ちゃんと個々のイベントのイントロダクションになるように組まれていたのです。
オーケストラもマーラーよりもはるかに音楽にのっていたし、素晴らしかったです。
[ソリスト]
Joyce Yang, Piano
連携のパワー
今回ニューヨークに来て一番感じたことは、個々の芸術機関単独ではなく、それらが連携して大規模な企画を実現させているということです。
例えば、バーンスタイン・フェスティバルは、カーネギーホールとニューヨーク・フィルの共催だし、リンカーン・センターは、今シーズンゲルギエフを迎えてのプロコフィエフの特集が目玉なのですが、そこでもダンス部門の「ロメオとジュリエット」の新振り付けの委嘱がハイライトになっていました。
ニューヨークも東京と同じで世界中から芸術団体がやって来ますが、東京と違うのは、ニューヨーク発のプロダクションが外からやってくるもの以上の発信力を持っているという点なのだと思います。
(2008.9.26)