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マイケル・ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団

ベルリオーズ:幻想交響曲/レリオ

幻想交響曲とレリオをカップリングさせているところがミソ。

以前から、幻想はティルソン・トーマスのよさが出ないと言っていた私。でもこのCDは、曲の組み合わせにMTTのこだわりがあったのです。

幻想交響曲にその続編とされるレリオ(あるいは生への回帰)から、亡霊の合唱とシェークスピアのテンペストによる幻想曲の2曲をカップリングさせています。

幻想交響曲とレリオは、2009年に放送するKEEPING SCOREのテレビシリーズでも取り上げることが決まっています。標題音楽がテーマなのでしょうが、ティルソン・トーマスがこれらについてどう話を展開させるのか、非常に楽しみです。

CDの幻想交響曲の演奏については、2楽章のワルツと3楽章は素晴らしい出来だと思います。本当に夢の中の出来事という感じがします。

でもやはり4・5楽章の濁りのなさが、私はどうにも引っかかります(ちなみに夫は気にならないと言っている)。ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団はトゥッティでフォルティッシモを鳴らしたときに、スカーンと青空に突き抜けるような響きがしますが、これが曲によってはストレートすぎて何かが足りないように感じるときもあります。これは彼らのよさと表裏一体でもあるから難しい。

私のリサーチによると、ティルソン・トーマスのレパートリーで安心して間違いないとおすすめできるのは、アメリカン&ロシアン、そしてマーラーとR.シュトラウスです。

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【追記】その後いろいろ聴いてみると、当初思ったよりもMTTがいけるレパートリーは広いです。
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ジャンル的には、MTTは非常に伴奏上手であることから、コンチェルトや歌ものはいけます。これはコミュニケーション能力のなせる業なのか、若い頃のハイフェッツ等の伴奏で鍛えられたのか、ロンドン響時代にコンチェルトのテレビ番組に出ていたらしいことによるのかはわかりませんが、とにかく絶妙のタイミングで合わせてきます。ソロと合奏のバランスがうまくとれていて、とても楽しめます。

もし伴奏指揮は地味な仕事だと思う方がいたら、一度MTTの伴奏ものを聴くことをおすすめします。非常に高度な能力が要求される世界だと、認識を改めることでしょう。伴奏仕事が多い若い指揮者の方も、きっと元気をもらえるはず。