プロコフィエフフェスティバル
ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、毎年テーマを決めた約2週間のフェスティバルをやっていますが、今年はピアノコンチェルトの全曲をメインに据えてプロコフィエフを取り上げます。そのフェスティバルの初日(6/14)に行きました。
駅からホールまでの通りにはフラッグが続きます。
まず、会場入り口で民族衣装を着たアコーディオンとギター(?)の伴奏で歌手がロシア民謡を歌って出迎え、いきなり気分はロシアンに。こういうところがサンフランシスコシンフォニーなのです。
次はコンサートの1時間前にプレコンサート・リサイタルです。こちらはコンサートマスターのバランチックが、今回のフェスティバルで登場する4人のピアニストの1人であるフェルツマンとヴァイオリンソナタの1番を披露しました。
この日は、コンサート後にフェスティバルを支援するパーティがあったので、タキシードやドレスを着たお客さんがたくさんいました。
コンサート1曲目は「三つのオレンジへの恋」組曲。MTT&SFSのプロコフィエフは、彼らの生き生きとした音楽のよさが前面に出ていて楽しいです。いつも思いますが、オーケストラの弦楽セクションは当然ボーイングが揃っているものですが、SFSの場合、出てくる音のまとまり方が常識を超えているため、ボーイングによる視覚的な一致と音の一致による迫力は圧倒的です。
2曲目はブロンフマンのピアノでピアノコンチェルトの3番。ブロンフマンを生で聴くのは2回目でしたが、弾丸のようでした。この曲は1楽章だけでもえらい盛り上がるので、終わったときに拍手が起きました。すごい拍手だったので、ブロンフマンはすかさず立って拍手に応えたのですが、MTTはそれに対して「座りなさいって!」というようなおばちゃん仕草で応酬し、オーケストラと会場は爆笑。
MTTはおちゃめなことを毎回何がしかやっています。マーラー7番のときは、5楽章に入る前に気合を入れる感じで、靴底がすべらないように指揮台の上で靴底を何度もなすりつけてアイドリングしていたし、プラハ公演では後半のプログラムで舞台に登場したときに、ジャケットのボタンを全部はずして登場し、目が点になっているオーケストラメンバーに飛ばしていくよという感じで応えていました。
後半は、彼らの定評ある「ロメオとジュリエット」からで盛り上がって終わり。
この日は、日本から所用でサンフランシスコに来た知人が、私が語るサンフランシスコ交響楽団とは如何なるものかということで聴きに来てくれました。彼女もサンフランシスコ交響楽団のコンサートの楽しさを喜んでくれて良かったです。何でも、MTTの指揮姿が楽しめるという話は聞いていなかったそうで、繰り出されるアクションのうち、キュートなアクションの数々にウケていました。
(2007.6.14)