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ニュー・ワールド交響楽団の本拠地へ
マイアミに来たからには、ニュー・ワールド交響楽団の本拠地へ出かけないわけにはいきません。
場所は、マイアミ市から橋を渡ったマイアミ・ビーチ市の目抜き通り、歩行者天国のリンカーン・ロード・モールにあります。
予想したよりもきれいな建物。クリームイエローをベースに、そら豆色とブラウンの3色のアールデコ調の建物。レリーフがおしゃれ。
表通りに面して、フェローたちが楽器を持っている写真が飾ってあります。
本当はリンカーン・シアターでのコンサートを聴きたかったけれど、日程が合いませんでした。残念。
現在の拠点のすぐ裏側が新キャンパスの建設地。大きい。
工事現場の回りにプロジェクトを紹介する幕がかかっています。
ポイントは、
- 官民共同プロジェクトであること(3分の2が民で1が官)
- フロリダ初のフランク・ゲーリー作品かつMTTとのコラボであること
- パブリックな公園の中にコンサートホールがあるキャンパスができること
立地がものすごくいいし、街のシンボリックな場所になること間違いなし。
今回マイアミに来て思ったことは、MTTやニュー・ワールド交響楽団は、落下傘的に存在するのではなく、地元全体の中での存在になっているということ。
英語を話さない人たちが当たり前にいるラテンなマイアミで、オーケストラをゼロから作って地元に根づかせたことは、ある意味サンフランシスコよりも偉業かも。
アーティストの活動拠点があることの意味
そして都市を文化で振興するためには、ハコモノよりも、ビジョナリーなアーティストをひとり連れてきて、その街を拠点に活動してもらう方が遥かに効果があるのではないかと思いました。長期にわたる常設の拠点であるという点がポイントです。
なぜなら、MTTひとりいるだけで、年間70名もの第一線で活躍しているアーティストが、世界中からマイアミに教えに来るし、アウトリーチなど様々な場を提供してくれる。そして地元のアーティストもそれらを参照しながら活動することになるので、皆の目線が上がる。
また今回のフランク・ゲーリーのように、ビジョナリーはビジョナリーを連れてくる(MTTとゲーリーは子どもの頃からのつきあいで、南カリフォルニア大学の同窓でもあるそう)。
さらに文化政策面でも進歩的なアイディアを出してくれる(パフォーミング・アーツセンターなどのアート拠点づくりにも参画している)。
そしてMTTがマイアミから発信することが、都市のブランドにプラスに働くし、集客にもなる。
マイアミは、フロリダ・グランドオペラをはじめ、文化のレベルが予想していたよりもずっと高かったです。
リゾート地って、ホテルがいくら立派でも、それだけでは何だか空虚だといつも私は思っていました。長期滞在のリゾート地としての魅力には、文化面での満足度という要素が欠かせないのだと、今回マイアミに来て痛感しました。
「ラ・ボエーム」を観るへ続く
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