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ティルソン・トーマスのLSO時代のR.シュトラウスのDVD
マイケル・ティルソン・トーマスのロンドン交響楽団時代のリヒャルト・シュトラウス作品のDVDが発売されました。
収録されているのは、
- ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
- 英雄の生涯
の2曲。
(どうせなら、ジャケット写真も当時のものにして欲しかった)→
両方とも最初に曲についてティルソン・トーマスが解説している映像が入っています。これらは当時BBCで放送されて評判になったテレビ番組をビデオ化したもの。
ティルが1986年、英雄の生涯が1994年の収録。
このDVD、どういう視点で見るかというと、一つは、曲の解説部分。MTT“らしい”ことをしゃべっています。
もう一つは、ティルソン・トーマスがこの1986年~1994年の間に人間的に大きく成長したらしい形跡を見てとれる点。やはりロンドン交響楽団での活動、そしてニュー・ワールド交響楽団を始めたこと、この間にバーンスタインが亡くなって独り立ちしたことなどが彼を変えたのかなと思いました。1994年と今を比較すると、基本は変わらないけれど、ずいぶん成熟していると思います。
視聴するときは、先に英雄の生涯を観ることをおすすめします。解説映像が、バービカンのコンサートでMTTが観客に話しているものなのですが、これに組み合わされているイラストレーションがとてもよく出来ていて面白く、一見の価値があります。
ティルの方は、解説も演奏もスタジオなのですが、解説は結構MTTがカメラに向かってアップでしゃべる時間が長い。最初にストーリーを紹介していますが、そこでつまらないと思ってもがまんして曲の解説に進むと、「よく思いつくねえ?」ということをしゃべっていて、「へえ」と思うことうけあい。
演奏について。MTTお得意の曲のサブテキストのイマジネーションを出発点にするというアプローチは、リヒャルト・シュトラウスになじむということもあり、彼はレパートリーの中でリヒャルト・シュトラウスを大事にしていると思います。このDVDの演奏も両曲とも特に文句ない内容ですが、さらに進化したMTTを聴ける今となっては、録音が良いわけでもないし、私は繰り返し観たいというほどではなかったです。
ica classics では、ティルソン・トーマスのボストン交響楽団時代の映像も発売予定につき、楽しみ。
(2011.7.1)