トップ>here

ティルソン・トーマスが新進作曲家のキャリア開発に着手

マイケル・ティルソン・トーマスは、サンフランシスコ交響楽団、ニュー・ワールド・シンフォニー、大手楽譜出版社の Boosey & Hawkes と共同で、新進作曲家のキャリア開発を支援するプロジェクト“New Voices” を立ち上げることを発表しました。

新作委嘱のプロセスを改善する試みで、楽曲が演奏される側面と楽譜出版などのマネジメントの両面から新進作曲家の職業開発を支援するもの。

具体的には、

  • 年間ベースでアメリカの作曲家を選出。まず Boosey & Hawkes のプレジデント、サンフランシスコ交響楽団とニュー・ワールド・シンフォニーのアーティスティック・プランニングの責任者からなるパネルで予備選考。最終的には、ティルソン・トーマス、アメリカを代表する作曲家、オーケストラ界のリーダーからなるパネルで選考。
  • 第一弾は、カナダ出身でニューヨーク在住の女性作曲家 Zosha Di Castri を選出。フル・オーケストラ作品1曲と室内楽作品1曲を委嘱。ニュー・ワールド・シンフォニーでワークショップを開催した上で、2013年4月に初演。その後サンフランシスコ交響楽団でも2013年秋にオーケストラ・コンサート及び室内楽コンサートで演奏。どちらもティルソン・トーマスが指揮。
  • ティルソン・トーマスや第一線の作曲家からなるアーティスティック・チームがメンターに。また、サンフランシスコ交響楽団のメンバーらハイレベルのアーティストと交流の機会を提供する。
  • 楽譜出版面では、スコアを初演に向けてハイレベルに完成させるための2週間の集中的なサポートを行う(作曲家にとって非常に重要とのこと)他、作品委嘱契約の締結、著作権登録、ライセンス供与、パブリシティやマーケティング戦略などプロモートに関するものまで、総合的なサポートを行う。

ティルソン・トーマスは、「音楽の未来は新しい作曲家の育成にかかっている」とコメント。遂にクラシック音楽界が抱える本質的問題(若い作曲家が世に出る道筋が見えない、オーケストラで演奏される機会がない)の改善に着手です。過去をさかのぼれば、ニュー・ワールド・シンフォニー創設のきっかけも、タングルウッドのアカデミーで参加者と「これが終わったら次に何するの?」と話していたとき、「特に決まっていない」という人が多くて、若い音楽家のキャリアの出発点になる装置が必要なのではないかと思ったことが始まりだった由。

40年前、業界慣行にもの申した(そして、振り返ったらついてくる人がいなかった)ロックスターのような風情のお兄ちゃんが、まさかここまで来るとは、予想できた人はまずいなかったのではないかと思うと感慨深いです。

詳しくはプレスリリース

(2012.5.24)