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サンフランシスコ交響楽団の創立100周年、あなたは何を聴く?
3月1日に創立100周年を迎える2011-2012シーズンの詳細を発表したサンフランシスコ交響楽団。
シーズンを通して100周年を祝う内容になっているため、サンフランシスコにお住まいの方が羨ましい限り。日本から行って体験しようとすると、選ぶのが非常に難しいのですが、私がこの辺りに注目かなと思うところをご紹介します。
参照
この話の前提となる、100周年を迎えるにあたっての彼らのビジョンと取り組み、アウトラインについては、昨年12月の発表を受けた オーケストラとは何か?サンフランシスコ交響楽団の創立100周年プログラム をご参照ください。
シーズン・オープニング
やはりシーズン・オープニングの約1ヵ月間は注目。パールマンとラン・ランがゲストのオープニング・ガラ(9/7)、翌日のシビック・センターの野外広場での100周年祝いの無料野外コンサートと一般の人々を対象にしたパーティ、そして公共図書館でのオーケストラの100年を振り返る様々な展示。サンフランシスコの人々がどうお祝いしてどんな反応なのかを観察するのは、とても興味深い。
ガラに関しては、私は‟音楽を聴く“という観点からは通常はおすすめしないのですが、今回はPBSテレビで放映されるために撮影が入る。ティルソン・トーマスは録音や撮影に尋常ならざるがんばりを見せるので、これは期待できます。
これに続く3週間
1週目:ヨーヨー・マ(9/14-17)
ヒンデミットのチェロ協奏曲。ヨーヨー・マ×MTTは聴き逃せない組み合わせの一つだと思います。
2週目:マーラーの交響曲第3番(9/21-25)
私はMTT/SFSコンビのマーラー全曲制覇を目指しているのですが、3番はまだ聴いていないのでチェック。
3週目:映像つきプロダクション(9/29-10/1)
ティルソン・トーマスは、最新のテクノロジーを使ってオーケストラ・コンサートが提供するものの可能性を広げることにサンフランシスコでもチャレンジするそう。ニュー・ワールドで実験したものを実践するということでしょう。アデス作曲の「ポラリス」は、ニュー・ワールドのサテライト舞台とマルチ・スクリーンを前提とした音楽と映像でしたが、それがデイビス・ホールでどうプレゼンテーションされるのか興味津々。曲はサンフランシスコ交響楽団にぴったりだと思います。
ドビュッシーの聖セバスティアンの殉教(1/12-14)
これも映像つき。サンフランシスコ交響楽団の設立と同じ1911年の作曲につき選ばれました。翌週はSFSと相性が良さそうで今後が楽しみなパブロ・ヘラス・カサドの客演(1/19-21)。
American Mavericks Festival(3/8-30)
100周年の目玉は何と言ってもこのフェスティバル。日程を見たところでは、日本からだとニューヨークで聴いた方が効率的によさそう。演奏はもちろんですが、組み合わせやプレゼンテーションの仕方、周辺イベントなど、総体で何を提供してどういうメッセージが浮かび上がってくるかに大いに注目。
サンフランシスコの歴史をたどるプロダクション(5/10-12)
100周年を記念して、サンフランシスコの歴史をたどる Barbary Coast and Beyond: Music from the Gold Rush to the Panama-Pacific Exposition を制作・上演。何が出てくるのか想像がつかないので、ぜひとも見てみたい。MTTはついに肩書きがキュレーターだって。
ゴールデン・ウィークの辺りには、注目のフィンランド出身の指揮者 Susanna Mälkki のSFSデビュー(4/27-28)、ジョシュア・ベルのプロジェクト・サンフランシスコ(4/29)、密かにオーケストラ・メンバーががんばりそうなオール・バロック・プログラム(5/1-5)も並んでいます。
シーズンの締めくくり
100周年の最後は3週続けてMTTで締めくくりなのですが、これも1911年に書かれたことから選ばれたバルトークの「青ひげ公の城」(セミ・ステージ形式、6/21-23)、フィナーレを飾るベートーヴェンの第九(6/27-30)が、シェーンベルクの合唱曲「ワルシャワの生き残り」と組み合わせられているところに注目。
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ここで紹介した他にも、それぞれが工夫された内容になっていますが、しいて挙げれば、ペトレンコとベルのコンビによるグラズノフ(10/5-9)、サロネンの登場(12/8-10)、成果が期待できるブロムシュテットのブルックナー(2/8,10)などに注目。
サンフランシスコの地元的には、アメリカのビッグ・オーケストラがやって来ることが大ニュース(彼らは日本のようにいろんなオーケストラを聴く機会が少ない)。健康不安のレヴァインとムーティが無事参加できることを祈る。
詳しくはプレスリリース
(2011.3.2)