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サンフランシスコ交響楽団が21世紀のオーケストラを考えるフォーラムを立ち上げ
サンフランシスコ交響楽団が創立100周年事業の一環として、21世紀のアメリカン・オーケストラのあり方を考えるフォーラムを立ち上げました。
私が彼らの活動をウォッチし始めて以来、最も啓発的で興味をそそられるプロジェクトです。
これは100周年祝いに、ロサンゼルス、シカゴ、クリーブランド、フィラデルフィア、ボストン、ニューヨーク、+サンフランシスコの7オーケストラがデイビスホールで演奏を披露することにからめて計画されたもの。
ドゥダメル、ギルバート、MTTの基調講演に加え、スタンフォード大学他の研究者、ジャーナリスト、シリコンバレーのIT企業の経営陣(!)、野球のメジャー・リーグの経営者(!)などを招いたディスカッションで構成されます。
フォーラムのテーマは、コミュニティとの関係(グスターボ&デボラのコンビ)、クリエイティビティとイノベーション(MTT)、新たなテクノロジーの出現や聴衆のライフスタイルの変化を踏まえたオーケストラのあり方(ギルバート)と、ホットな問題設定でそれぞれの分野の真打が登場。
過去を振り返り、過去から学び、そして未来を考えるという構成になっています。
専用のウェブサイトが開設され、ビデオやポッドキャストでディスカッションの様子を見られるようにする他、スクリプトも掲載される予定。ブログもあり。
フォーラムはアメリカ・オーケストラ連盟と協力して行われ、広く議論への参加を呼び掛けるとともに、成果は来年のダラスでのカンファレンスで発表されます。
フォーラムでモデレーターを務めるジャーナリストの方がブログに書いていたフォーラムの目標が印象的です。解を求めるのではなく、問題提起すること、探求し、対話し、好奇心を高める、そして最後は音楽に戻る。
同時代に起きていることに正解はわからない。わからない中で何を考え、どう行動していくかなのだと思います。どんな議論が登場するか、楽しみ。
アメリカン・オーケストラ・フォーラムの予定
フォーラムその1:コミュニティについての話
- 2011年10月23日 2-5時
- プログラム:オーケストラは変化するコミュニティにどう対応したか?教育において、オーケストラは市民のパートナーとしてどのような役割を果たしているか?ホームとなる都市に対するオーケストラの責任とは何か?
- 基調講演:ドゥダメルとデボラ・ボルダのLAコンビ
- ラウンド・テーブル:アメリカ・オーケストラ連盟のプレジデント/CEO、シカゴ大学の芸術史の先生、サンフランシスコ交響楽団のユース・ユースオーケストラ出身の団員、スフィンクス・オーガニゼーション(デトロイトを拠点とする、クラシック音楽でダイバーシティを広げる活動をしている団体)の方などによる
フォーラムその2:クリエイティビティについての話
- 2012年3月17日 1:30-4:30(サンフランシスコ交響楽団のアメリカン・マヴェリクス・フェスティバルに合わせて開催)
- プログラム:オーケストラはどう伝統とイノベーションのバランスを取るか?変化するテクノロジーはアーティストの音楽に対する考え方をどうかたち作るか?アーティストはどう学び、私たちはどう体験するか?クラシック音楽の教育を受けたアーティストや作曲家はどうジャンルを広げるか?音楽のクリエイティビティに対して地域の特殊性が与えるものとは何か?(涙がちょちょぎれるほど、MTTらしい問題設定)
- 基調講演:ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団のエグゼクティブ・ディレクター
- ラウンド・テーブル:メイソン・べーツとジョン・アダムズ(地元ベイエリアの作曲家)、InstantEncoreのCOO(アーティストや芸術機関にインターネットを活用した21世紀型のコミュニケーション・ツールを提案・提供している)、スペシャル・ゲスト(おそらくこの回がシリコンバレーからのゲスト)など
フォーラムその3:オーディエンスについての話
- 2012年5月13日 1:30-4:30
- プログラム:伝統的なオーケストラ・コンサートの聴衆の体験は曲がり角に来ている。アートの表現形式は、社会の標準が変化するにつれ、その本質を変えることなくどう進化できるか?聴衆がライブ音楽を体験する方法はどう変化し、それは私たちの未来にどう影響するか?パフォーミング・アーツの外にヒントとなるモデルはあるか?
- 基調講演:アラン・ギルバートとミシガン大学の音楽学者
- ラウンド・テーブル:全米芸術基金のディレクター、野球のメジャー・リーグの経営者、スタンフォード大学の音楽と音響のコンピューター・リサーチ・センターの先生など
詳しくは
開設された専用ウェブサイト
アメリカン・オーケストラ・フォーラム
(2011.9.30)