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サロネン&ロサンゼルス・フィルハーモニックを聴く

アメオケツアーの最後を飾るのは、サロネン&ロサンゼルス・フィルハーモニック。

本当は車の渋滞と排気ガスに満ちたこの街が好きではないのですが、昨年聴いてオーケストラもホールも素晴らしかったので、夫に聴かせようということでやって来ました。

今回のプログラムは、ヒンデミットの「画家マチス」とマーラー「大地の歌」。

プレトーク

開演一時間前に地元でオーケストラの指揮をしている方によるプレトークがありました。ウォルト・ディズニー・コンサートホールにはアトリウムがあるので、そこが会場です。

何でも当初予定していたスピーカーが事故にあい、急遽話すことになったとか。

内容は、マーラーの時代背景と作品を抜粋で聴かせるというもの。その程度の話は皆知っているのではというレベルだったので、つまらなかったです。

ホールは、基本的にどこの席で聴いても音がいいように作られているのですが、難点は席がいくつものカテゴリーに分かれていて、それぞれ決まったドアからしか席にたどりつけないこと。ご案内係(ここはボランティアではなく職員)に聞かないとたどりつけないのに、聞かれた方も間違っちゃったりします。

この点に関する苦情は結構あるようで、ウェブサイトでは、席を確認するコーナーができていました。

しかしそんな難点もホールの良さを考えれば、どうってことないです。

そしていよいよサロネン登場。

ヒンデミット:交響曲「画家マチス」

ヒンデミットは期待どおりの素晴らしさ。ロサンゼルス・フィルはロサンゼルスらしいオーケストラ固有の音があります。その響きが曲によく合っていました。オーボエとフルートのソロも見事。

サロネンは暗譜。ヒンデミットを暗譜で振っている人を初めて見ました。

オーケストラを派手に鳴らしていたので、昨年聴いたときもそうだったとちょっと思い出しました。

マーラー:交響曲「大地の歌」

後半はマーラー。

こちらは、正直聴かなきゃよかったかもと思いました。ヒンデミットの方がはるかに良かった。

オーケストラはすごくうまくて、どこにも粗がないし、サロネンの解釈も一般的に見たらケチをつけるようなものではないと思いますが、個々のパーツはよくできているけれど、全部つなげて見ると、主張がはっきりしなくなってしまう演奏という印象を受けました。

あと歌手がイマイチでした。

Lilli Paasikivi, mezzo-soprano
Anthony Dean Griffey, tenor

聴いているうちに、シカゴで同じくマーラーを聴いたハイティンクの仕上げというのは、実はとても高度なことだったのではないかという気がしました。

目に付いた点では、字幕が出たこと。オーケストラ曲で字幕は珍しいですが、これで皆がプログラム冊子をめくる事態は回避できます。

オーケストラについて

ロサンゼルスという都市でクラシック音楽をやるのは難しく、ロサンゼルス・フィルはいつも集客に苦労しているオーケストラだと新聞で読んだことがありますが、今回も席が埋まっていたのは8割くらいでしょうか。

ホールもクラシックだけではない品揃えに力を入れているようでした。

ロサンゼルス・フィルはチケットの値段が高いのです。演奏は素晴らしいし、安いカテゴリーのところは若い人たちがたくさん来ていて、席も埋まっていました。人口も多いから潜在的顧客はまだまだいるのだと思います。

このあたりもオーケストラがドゥダメルに賭ける理由の一つなのではないでしょうか。

私は、この都市で17期も音楽監督を務めるサロネンは、そのことだけをもってしてもブラボーだと思います。

プログラム冊子は1ヶ月ごとに作成しているもので、大きさ的にはニューズウィークくらいのものです。活動の紹介や参加を呼びかけたりするページはありますが、積極的な印象は受けませんでした。

(2008.5.9)

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