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オーケストラの活動にソーシャル・ネットワークを生かす実験

サンフランシスコ交響楽団では現在、めざましい発展を続けるインターネット上のソーシャル・ネットワーキングをどう活動に生かしていくかに取り組んでいます。

そんな中、2008-2009シーズンで地元ベイエリアの作曲家 Mason Bates へ委嘱したThe B-Sides の初演をめぐる一連の展開が、オーケストラの活動にソーシャル・ネットワークを生かす一つのモデルケースとして参考となりうるのではないかと思ったので、彼らの行動をまとめておきます。

彼らの行動の流れ

  1. 4月のユーチューブ・シンフォニー・オーケストラの公演にて、The B-Sides の中の一曲が披露される
  2. 5月のサンフランシスコ交響楽団の初演に先駆け、彼らのソーシャル・ネットワーク・サイトにそのユーチューブの映像をアップ
  3. サンフランシスコ交響楽団の Twitter(ツイッター)にて、ソーシャル・ネットワーク、Batesのブログ、取材記事等へ誘導。同時にそれらを見た人からどんな曲かの予想がTwitterに投稿される
  4. チケットsold out でコンサートを迎える
  5. サンフランシスコ交響楽団での初演(Bates もアップルのPCで演奏に参加)
  6. コンサート後、アフターイベントの Davies after Hour が続く。デイビスホールの上の階のホワイエをクラブみたいにしてしまおうという企画。照明やカクテル等にもこだわった雰囲気の中、今度はBates のDJを交えてサンフランシスコ交響楽団メンバーとのコラボが展開される。コンサートのお客さんは、シンフォニーのコンサートとは違うノリで Bates の音楽(electronica と呼ばれる)に対するアイディアや他の側面を知ることになる
  7. これらを通して、お客さんは単にコンサートに行くだけではなく、事前に曲や作曲家についての情報を得たり、アフター・コンサートに参加、自分の意見や感想をつぶやいたり、作曲家ともネット+リアルで交流するなど、多面的な体験ができる
  8. イベント後、Batesが今回のサンフランシスコ交響楽団での体験を振り返った記事を自分のブログやSFSのソーシャル・ネットワークへ投稿
  9. これらを体験した人たちもTwitterやブログ等へ投稿。Batesとサンフランシスコ交響楽団はこれらからフィードバックを得、次の活動へつなげる

インターネットは手段である

以上、彼らは本当に「ソーシャル・ネットワーク」としてこうしたインターネットのツールやサービスを使おうとしていることがおわかりいただけると思います(「バカと暇人のもの」ではない)。

彼らのソーシャル・ネットワーク・サイトやこうした試みは始まったばかり。今のところ、やはり担当者をはりつけて、うまく循環がおきるようにシンフォニーの側で相応のエネルギーを使っているようですが、今後どう発展していくのか楽しみです。

SF Symphony のこれらの取り組みに関するサンフランシスコ・クロニクルの記事
New ways to enjoy San Francisco Symphony

サンフランシスコ交響楽団のソーシャル・ネットワーク・サイト

(2009.6.28)