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お金は理念についてくる?
サンフランシスコ交響楽団の2006-2007年度決算が発表されました。結果は約45万ドルの黒字(事業規模は58.3百万ドル)。
2006-2007年度は、KEEPING SCOREプロジェクトや2度のヨーロッパツアーがあったため、当初1.7百万ドルの赤字を予想していたのに対し、この結果を出せたのは、多くの寄付を集められたことによるそうです。
寄付を集められた原因は、多くの人々にクラシック音楽の楽しみを広げるというKEEPING SCOREのビジョンが多くの支持を集め、KEEPING SCOREプロジェクト、教育プログラム、海外ツアーという使途が特定されているものへの寄付を集められたことに加え、これらへの支持がチケット収入の増加や年間活動への支援(使途が特定されない。60万ドルの増加)へつながったとのこと。
彼らは「やはり社会ビジョンだ!」という結論に至っているようです。
KEEPING SCOREがもたらした彼らの評価への影響は非常に大きかったそうです。DVDの海外売上げも好調だし、ツアーも盛況。オーケストラメンバーは、ヨーロッパのツアー先のスーパーマーケットでも「サンフランシスコ・シンフォニーの人でしょ?」と声をかけられるそう。
KEEPING SCOREが多くの支持や高い評価を得たことは当然と言ってよいでしょう。それだけの内容があると思います。私がこのようなサイトやブログをやるきっかけもKEEPING SCOREのことを日本人が知らないのはおかしいと思ったことでしたし、マーラーがいかに素晴らしくてもそれだけではこんなに応援しなかったと思います。
オーケストラメンバーが声をかけられるのは、KEEPING SCOREでオーケストラメンバーにしゃべらせた効果でしょう。皆が野球選手のプレーや監督の采配についてあれこれおしゃべりするように、シンフォニーも個々のメンバーのプレーや指揮者の解釈が話題になるようになりたいと常々語っていたMTT。この観点からメンバーにしゃべらせたのだと思いますが、あのドキュメンタリーのおかげで予期しなかった人たち(私も)にまでメンバーの顔を覚えさせてしまいました。
海外ツアーに寄付が集まったというのも納得です。あの超練り上げてあって信じられないくらい一つになっている音楽をサンフランシスコの人たちしか聴けないのはもったいないし、アメリカンな音楽を披露することは、非常に意義があると思います(実際、聴いて面白い)。
2008年はサブプライムに端を発する景気後退などの懸念材料はありますが、世界中のどのオーケストラもやっていない活動をぜひ盛り上げていってほしいです。
決算についてのサンフランシスコ・クロニカルの記事
ちゃんと新聞で報道されます。