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あらためて考える、MTTってどうよ?
ニュー・ワールド交響楽団の新キャンパス構想を見て、2億ドルの調達キャンペーンという金額も金額ではありますが、それはさて置き、ティルソン・トーマスが音楽面での構想をぶち上げているのを聞いて恐れ入ってしまいました。
その構想とは、新キャンパスを、
- 音楽を創造する場(作曲家とのコラボレーション)
- 将来のクラシック音楽を形づくるような演奏を発信する場
- 今までにないやり方で音楽を提供する場(コンサート内容とアウトリーチも含めた観客への音楽の提供方法において)
の3つで、未来に向けて先駆ける実験場として世界に発信するというもの。これをプロになる前の若者たちとやるというのだから、その発想と根性にただただびっくり。そして構想の内容も非常にMTTらしいというか、彼にしか思いつかないようなもの。
サンフランシスコ交響楽団の活動だけでも十分サプライズなのに、まだ他にも構想があったとは、本当に恐るべしです。
ついでにお金の話をすると、ニュー・ワールド交響楽団には、普通の私学のような学費がない。したがって、借入で調達して学費収入で返済していくというスキームはありえない。またコンサートも無料〜20ドル程度の入場料のものが多いので、興行収入を投資に振り分けるのも無理。
まさに実績と、クラシック音楽の力、MTTの言う未来を信じる、この3点に賭けてもらうしかない世界なのです。
ティルソン・トーマスを応援する楽しさって、「今度は何をやらかしてくれるのだろう?」という期待することの楽しさなのだと私は思っています。
コンサートもCDもワクワクするような期待感がある。そして彼は眉間にしわが寄ってなくて、さらりとしている。コンサートで中間楽章がうまくいったとき、いちいちオーケストラに「Good Job」アクションを出したり、会心の出来だったときにガッツポーズをして舞台から去っていく指揮者なんて、他には見かけません。
もしあなたがティルソン・トーマスに対して何らかの先入観があるとしたら、現在の彼はその先入観とは別のパラダイムに生きているのかもしれません。
(2008.1.29)