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本屋で最近出た「指揮者列伝」という本を見つけました。こういうのにティルソン・トーマスは載っているのかと手に取ってパラパラめくってみたら、いましたいました。玉木正之さんが書いていて、

顔で損をしている

そうです。何でもティルソン・トーマスがいくら立派な発言やいい演奏をしても、あの「飄軽」な顔が効果を減殺してしまうのだとか。

その本は、何故か1ページもティルソン・トーマスにさいていて(これはお礼を言うべき?)、大きなポートレート写真が載っています。多分40歳代後半から50歳くらいのときのものと思われる、スポーティなマイケルがにっこり微笑んでいる写真。写真と文章から、見た人は皆納得してしまうでしょう。さらに、話がもう12年以上も前のロンドン響時代でおしまい。

「あの〜、彼はまだ生きていて続きがあるんですけど、、、、」

本で取り上げる指揮者の切り口を考えたとき、彼の場合は顔になってしまうということでしょうか?実際、日本の男性クラシック音楽ファンでティルソン・トーマスの顔に目が行く人は結構いるように思います。私が彼に最初に興味を持って、ネットで検索していろいろ見ていたとき、「えらく男前である」というように書いてあるのをいくつも目にしました。中には「MTTは想像していたよりも老けていて、じいさんが踊っているようだった」とコンサートの感想を書いている方もいましたが、こちらはなかなかに的を得ているかも。彼の場合、顔単品というよりもそれに派手なアクションが伴っていることを忘れてはなりません。

ちなみに現在のティルソン・トーマス(62歳)は、何か余分なものが削ぎ落とされてとてもすっきりした雰囲気が漂っています(マラ5のCDの音楽の印象そのままです)。今はもう顔もアクションも含めてキャラごと超越しちゃっているかと。

最後に私が2回彼を近くで見た感想をご紹介すると、最初にチューリッヒの空港で、明るい自然光の下で見たときは、「あぁMTT、顔が魔女にしか見えないよ」と思いました。2度目にサンフランシスコ交響楽団の音楽監督の部屋でお目にかかったときは、間接照明だったせいか、存在そのものがむちゃくちゃカッコ良かったです。

それにしてもティルソン・トーマスの現況の日本での知られていなさかげん。「あの人は今!」クラシック音楽編をやったら、選ばれるかも?

(2007.7.23)

教育者 ティルソン・トーマス