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感性への刺激

ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団のコンサートは、自分の感性に刺激を受ける感じがするというお話をしました。具体的にはどういうことなのでしょう?

演奏

● 生命感、躍動感にあふれた演奏
● 感動させようとするよりはむしろ立体化した音楽を提示し、「さあ、これをどう聴くかはあなたの自由です」と言われている感じ

プログラミング

● いろいろな方向から刺激がくるような、緩急ある組み合わせ
● アメリカ現代ものを積極的に取り入れている

プレゼンテーション

● 聴く人に届ける意識の演奏
● 毎回プレトークを実施、聴くときに参考になるアイディアを提示

このプレトークでは、曲の説明をするのではなく、アイディアを提示するというところがポイントです。

例えば現代ものでも、この曲は音楽史上どういう系譜の延長にあるかということを、過去の作品を聴かせて、それとの相関で曲をとらえさせる。作曲家が採用したモチーフとかその展開を分解して見せ、どういう工夫をしているのか理解させる。その音楽を特徴づけているものは何かを探るといった内容なのです。

このプレトークのベースの上にティルソン・トーマスの手腕による演奏が乗っかることで、曲が難解でよくわからないものから、作曲家の発想や構造からインスピレーションを得るものに変わるのです。

プレトーク(出演者以外が担当)で、すでに客席の7〜8割が埋まっている状態ですから、彼らの努力、推して知るべしです。

(2007.1.18)

客席の空気