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マーラー交響曲第7番ライヴ

どうしてもライヴを聴きたかった7番。夫もマーラーを聴きにサンフランシスコにやって来て合流し、出かけました(6/9)。

今回ライブを聴くにあたり、できるだけCDの印象にひきずられないように、しばらく聴くのをやめていましたが、もはや耳に残っていて効果なし。第一印象は、CDと随分違うというものでした。

1楽章を聴いたときは、普通かもと思いましたが、2・3・4楽章がまさに「!」。ロンドン響との録音でもサンフランシスコとの2005年の録音でも、これ以上はないというくらい突き詰めていたと思ったのに、まだこんなにいろいろやることができたなんて、信じられないとしか言えません。

1楽章と5楽章は、ストレートにぱーんとした構成で、素直な感じがしました。反対に2・3・4楽章は、モチーフや声部、和声などを最初から徹底的に洗いなおして構成したというようなつくりでした。クラヲタ歴40年の夫によると、夜の歌の世界を描ききった演奏だそうです。

ヨーロッパツアーでも思いましたが、最近のティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団は、アンサンブルを徹底的に聴かせるという点は変わらないものの、以前よりもメンバーに大胆に任せてしまう部分が増えているように思います。ティルソン・トーマスのオーケストラに対する信頼は絶大で、彼はポイントしか押さえていないのに、行間が見事に埋められて一致団結した音楽が出てきます。

音楽家の歩みというのは、技術の進歩のように必ず過去よりも現在が優れているというものではなく、その時々でその時にしかない演奏で、過去との比較で語られるものではないと思います。そもそも何をもって進歩とか前進というのかということさえもわからない。そういう点で今回の7番は、今までとは違うアプローチ満載で、非常に楽しめるものでした。LSO盤もSFS盤も飽きるほど聴いたという方にもきっとご満足いただけると思います。

デイビスホールのお客さんは、あなたも私も大絶賛な人たちばかりで可笑しいです。オーケストラコンサートで舞台から遠くない席なのにオペラグラスを使っている人が何人もいるところなんて、他に知りません(応援しているメンバーをチェックしているらしい)。曲が終わったとたんに総立ちですが、これはもうお決まりという感じです。

マーラーの交響曲第7番は、ルツェルン、ベルリン、エディンバラの各音楽祭をはじめとする、秋のヨーロッパツアーでも取り上げます。ユーロ高にもめげずに聴く価値ありです。

(2007.6.9)

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