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サンフランシスコ交響楽団のファミリーコンサート

KEEPING SCOREには、サンフランシスコ交響楽団のファミリーコンサートの様子がよく登場します。

これが毎回、非常に楽しそう。

子ども向け=大人とは違う内容、という常識をいとも簡単に覆し、難解といわれる曲でも普通に採り上げてしまいます。

でも、そこにはちゃんと戦略があるのです。

まず、毎回テーマがあります。それに応じて、始めに曲の構成要素とか担当楽器などの「ここに注目して聴いてね」という部分について、取り出して演奏します。その時、ティルソン・トーマス(MTT)やオーケストラメンバーが観客の興味を惹きつける話を加えます。そして観客の好奇心がかき立てられたところで実際に通しで演奏をします。

例えば「春の祭典」

1. ストラヴィンスキーが、師であるリムスキー=コルサコフが作り上 げたロシア的な音楽である「MLADA」の書法を取り入れて「火の鳥」を作り成功したというところから話を始め、両者の音楽の類似点を聴き比べさせる。
2. そしてストラヴィンスキーがオリジナリティを追求した結果「春の祭典」に至ったのだと話を展開させ、
3. ではどこがオリジナリティなのかというところで、曲をいくつかのパートに分けた上で、メロディーやリズム、担当楽器などの要素を取り出して聴かせ、
4. 最後にある程度まとまった長さを通して聴かせる

という内容なのです。

サンフランシスコ交響楽団のパンフレットには、

「オーケストラのライブ演奏の忘れられない経験は、一生続く子どもへの贈り物」

とありますが、クラシック音楽の本質的な魅力を感じ取ってもらいたいという姿勢に、彼らの潔さを感じます。

(2006.12.16)

コンサートの観客を増やす