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METの「サロメ」に行ってみた

せっかくなのでオペラにも行きました。今シーズンのMET(メトロポリタン・オペラ)の通常公演は、ユルゲン・フリム演出の「サロメ」から始まるのですが、その初日です。

サロメ役はカリタ・マッティラ。指揮は当初のミツコ・フランクから変更になっていて、パトリック・サマーズ(ヒューストン・グランドオペラの音楽監督だそうです)。

フリム演出は、ヨーロッパの劇場で普通にかかっているようなものでした。舞台の背景セットとヨカナーン、兵士たちは、イェルサレムのもとの設定っぽいのですが、ヘロデ、ヘロディアス、宴に来ている人たちは、タキシードにドレスという現代のファッション。背景が茶系なところに、舞台中央で鮮やかな色彩のファッションに身を包んだ人々が浮き上がって見えるという仕掛けでした。

地上からヨカナーンの地下牢につながる部分のまわりは、蛍光灯の青白い光がおおっていて、フリムらしい雰囲気。

サロメは白のシンプルなドレスで、踊りの後は黒のローブをまとっていました。

マッティラのサロメは素晴らしかったです。ヨカナーンの首が軽そうに見えるところだけは気になりましたが。注意喚起のために中に何か重さがあるものを入れて作ればいいのではないかと思いますが、腕に負担がかかるから難しいのでしょうか?いかにも軽そうなプロダクションをよく見かけます。

七つのヴェールの踊りは、パンツスタイルの燕尾で登場。どうするのだろう?と思っていたら、中から黒のビスチェが出てきて、黒のボディースーツになり、最後の音で全裸になりました(一瞬の出来事)。

ラストシーンの演出は、ヘロデの「殺せ」のセリフがあって、殺されそうになるというところで、音楽が終わるというものでした。

オーケストラは手堅くて、指揮も良かったです。やはりMETはすべてが揃っていて、全体で見た水準が高いです。久しぶりにオペラを観て、やっぱりオペラの楽しみは特別なのだと思いました。

「サロメ」は昨年ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団が、デボラ・ヴォイトを迎えてラストシーン部分をやりましたが、基本的に「やっぱMTTで決まりでしょ」モードが入っている私でさえ、作品を通しで聴いた今回の方がはるかに受け取ったものが大きかったです。

お客さんも非常に沸いていましたし、METのファンがたくさんいる印象を受けました。

Salome:Karita Mattila
Jochanaan:Juha Uusitalo
Herod:Kim Begley
Herodias:Ildiko Komlosi

Patrick Summers, conductor
Jurgen Flimm, producer

(2008.9.23)