古都のオーケストラ、世界へ!

古都のオーケストラ、世界へ!

2014年9月12日、オーケストラ・アンサンブル金沢の四半世紀の歩みをまとめた

古都のオーケストラ、世界へ!――「オーケストラ・アンサンブル金沢」がひらく地方文化の未来

古都のオーケストラ

がアルテスパブリッシングから発売になりました。

2013年4月から1年間、海外を含めたOEKの様々な活動に自費で同行し、多くの関係者にインタビューを行って取材した成果をまとめたものです。

今回のテーマは「街にオーケストラがあるということを考える」

金沢の街にOEKができたことによってどのような変化が起きたのか、人々とオーケストラとの関わり、オーケストラをみんなで支えるということを考えるとともに、今の時代にグローバルな視点で地方から新たな文化を創造・発信することを考える内容となっています。

構成・執筆は独自の取材に基づいた自己の判断によるものですが、掲載写真と付録の資料は全面的にOEKの協力をいただきました。特に、82作品にもおよぶ委嘱・世界初演作品一覧は他に類例を見ず、彼らの偉業とユニークな取り組みに驚くばかりです。

OEKの活動を振り返ることを通して、日本のオーケストラについて考える機会になればとの思いで執筆しました。果してどのくらいその目標は達成されているでしょうか。皆さまの感想・ご批評を賜ればうれしいです。

音楽監督の井上道義さんが推薦文を書いてくださいました


その演奏がどんなに努力とセンスと愛に満ちていたものであっても、
そして演奏会での感動がどれほど大きくても、
時間は人に忘却を手渡していく。
だからこそ、使い古されたと思われる作品でも、
演奏家は嬉々として、毎回初演のように音にしていく。
北陸に生まれた潮さんが、短くも長くもある25年という時間を、
世界的な視点と鋭い感覚をもって本にしてくれた。

岩城宏之さんから私が受け継いだ開拓魂に溢れた遺伝子、
オーケストラ・アンサンブル金沢のメンバーの持つ諸外国と日本の文化、
そして個性のぶつかり合い──。
互いを信じ合えたとき、本番は常に輝き、愛の表現と化す。
その美しい瞬間への憧れと、
人の役に立つ喜びを知る人々がこの本を手にしたとき、
面白いもの、素敵なものを追い求めることこそが人生であり、
そしてそれはすぐ目の前の人との関係から生まれるのだということを感じ取るにちがいない。


井上さんは当時咽頭癌の療養中でしたが、ゲラを読んでアドバイスをくださり、推薦文も書いてくださいました。深く感謝申し上げます。

本の内容

目次は次のとおりです。

はじめに──街にオーケストラがあるということ

第1章 最初から日本一!
 古都にモーツァルトが響く
 石川にオーケストラを
 規模は小さく希望は大きく
 最初から日本一!
 OEKが生まれた環境と文化
 オーケストラが動き出す
 初めての海外公演
 記憶に残る三人
 活動の広がり
 海外公演奮闘記
 財政危機問題と楽団の足固め

第2章 ホールをつくる
 コンサートホール待望論
 OEKのためのホール
 活動の第二ステージへ
 OEKサウンド
 邦楽とのコラボレーション
 積極的な録音
 レパートリーを広げる試み
 新人登竜門コンサート
 音楽堂から広がるアマチュア音楽活動
 岩城との共演のクライマックス
 第二〇〇回定期記念公演

第3章 井上道義がひらく新時代
 新音楽監督・井上道義
 OEKを取り巻く環境の変化
 金沢21世紀美術館のmusic@rt
 ラ・フォル・ジュルネ金沢はじまる
 ラ・フォル・ジュルネ金沢を運営面からみる
 金沢独自のラ・フォル・ジュルネ
 井上流教育活動
 プロデューサー・イノウエ

第4章 3つの岩城ヴィジョンを検証する
 岩城ヴィジョンその1 インターナショナルな楽団員構成
 岩城ヴィジョンその2 コンポーザー・イン・レジデンス
  ◎──OEKのレパートリーを考える
 岩城ヴィジョンその3 積極的な海外公演
  ◎──海外との独自のネットワークを築く

第5章 オーケストラの今日的課題とOEK
 オーケストラの今日的課題その1 劇場法とオーケストラ
  ◎──邦楽ホールが鍵を握る
  ◎──彦根のホールとの文化創造提携
 オーケストラの今日的課題その2 教育プログラムの時代
  ◎──OEKの学校公演を考える
 オーケストラの今日的課題その3 地域発の芸術創造とは何か?
  ◎──オペラで地域文化を発信
  ◎──地域の題材で創作オペラを!

第6章 オーケストラの「持続可能性」とは
 オーケストラの活動と収入源
 OEKの財務状況
 黒字に転換した二〇一三年度
 マーケットの概況
 オーケストラの収益力を考える
 オーケストラのポジショニング
 財務的視点からみた持続可能性

終 章 OEKの四半世紀──過去から未来へ、石川から世界へ
 OEKの進むべき道
 オンリーワンを極める
 石川に人が集まる、その中心に

あとがき

COLUMN
 岩城さんはお父さん
 OEKのミュージシャンであるということ
 OEKを支える石川のスゴイ人々
 グローバル化時代の企業メセナ考│PFUの場合

付 録
 オーケストラ・アンサンブル金沢のあゆみ
 オーケストラ・アンサンブル金沢 委嘱・世界初演作品一覧
 オーケストラ・アンサンブル金沢 CD一覧
 参考文献・資料

四六判・並製・264頁
定価:本体1600円[税別]
発売:2014年9月12日
出版社:アルテスパブリッシング
ISBN978-4-86559-107-1 C1073
装丁:福田和雄(FUKUDA DESIGN)
ジャンル:クラシック/オーケストラ

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OEKについての取材・執筆活動

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